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経済

2024年5月29日

シンガポールのホーカー食、2023年に6.1%の値上がり-過去最高

 シンガポール統計局(SingStat)の調査によると、2023年のホーカー食の価格が6.1%上昇し、2008年以来の最大の値上がりを記録した。例えば、チキンライスの平均価格は2019年の3.40Sドル(約395円)から2023年には4.15Sドル(約482円)に、ミールブスの価格は3.26Sドルから3.79Sドルに上昇した。
 
 ホーカー食のインフレ率は2023年2月に8.3%でピークに達したが、12月には4.1%に落ち着いた。それでも、価格が元に戻ることは期待できない。価格上昇の主な要因は、COVID-19パンデミックやロシア・ウクライナ戦争による供給チェーンの混乱で原材料の価格が上昇した。
 
 しかし、2023年2月から12月にかけて世界的なエネルギーと食品コモディティ価格が大幅に下落し、シンガポールドルの実効為替レートも上昇したため、原材料や電気、ガスのコスト圧力は緩和された。このため、ホーカー食のインフレ率は2024年にさらに緩和される可能性があるという。
 
 SingStatの調査によると、2023年のホーカー食の価格上昇率6.1%は、2012年から2022年の年間平均上昇率2.2%を大きく上回っている。この調査では、ホーカーセンター、コーヒーショップ、フードコートの価格を比較し、1,700店舗以上から100以上のホーカー食の項目を分析した。
 
 ホーカーセンターでは飲料の価格が6.9%上昇し、コーヒーショップとフードコートでは麺類と米料理の価格がそれぞれ8%と6.5%上昇した。
 
 材料費の上昇は、気候変動や戦争などのグローバルな要因によるものと考えられている。また、一部のホーカーは、毎年少しずつ価格を上げるのではなく、一度に大幅に価格を引き上げることを選んだため、2023年の価格急騰が起きたとも考えられるという。
 
 ホーカーセンターの家賃が比較的安定していることも、価格上昇を抑える一因とされている。グレース・フー・シンガポール首相府大臣兼第二外務大臣兼第二環境・水資源大臣によれば、補助金制度を利用しない調理食品のホーカーの家賃は、過去10年間で月約1,250Sドルにとどまっている。
 
 価格上昇が続く中、一部のホーカーはコスト削減に苦心している。ホッケンミーのホーカー、ミッチェル・オン氏は、材料費や電気代の上昇が価格設定の課題だという。例えば、1kgのライムの価格が4Sドルから6Sドルに、電気代が月約1,000Sドルから1,800Sドルに上がった。
 
 一方、ハラルの西洋料理を提供するファズィル・モハマド・アリプ氏も、プロテイン価格の上昇が課題だという。彼はチキンチョップの価格を7.50Sドルから8.50Sドルに引き上げ、付け合わせを増やした。
 
 このように、ホーカー食の価格上昇は避けられないものの、顧客を惹きつけるための工夫や努力が続けられている。

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