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社会

2023年7月4日

シンガポール出生率、過去最低を記録、年間死亡数は1960年以来最多に

 シンガポールの2022年出生率が過去最低を記録したが、年間死亡者数は、1960年以来の最多となった。
 
 移民検問局(ICA)の発表によると、出生数は2021年の3万8,672人から2022年には3万5,605人と7.9%減少した。
 
 2022年の死亡者数は2万6,891人で、出生・死亡登録報告書に記録された2021年の2万4,292人と比べて10.7%増加した。
 
 これは1960年以来、年間総死亡者数で最多であったという。
 
 報告書によると、女性が子供を産み始める時期も徐々に高齢化していて、初産婦の年齢の中央値は2018年の30.6歳から2022年には31.9歳に上昇しているという。同時期に2人目以降の子どもを出産した母親の年齢の中央値に変化はほとんどなかった。
 
 大卒の初産婦の数は、2017年の58%から63.6%に増加した。
 
 シンガポールの少子高齢化問題に政府は、いくつかの緩和対策を実施している。
 
 シンガポールの合計特殊出生率(TFR)が昨年1.05と歴史的な低水準を記録したことを受け、政府は2月、結婚や子育てを希望する人々を支援する計画を発表した。
 
 これには、初めての子持ち家庭や若い夫婦が、住宅購入申請の優先順位を得ることが出来る。また、現金贈与や助成金、政府支給の有給出産休暇が4週間に延長されることなど含まれる。
 
 シンガポール国立大学の社会学者であるタン・アーン・サー氏は、TFRの低下に関して、要因として考えられるのは、子どもが老後の生活設計の一部と見なされなくなってきていること、また、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)がますます高まる世の中で子どもを育てるコストが上昇していることなどがあげられると述べた。
 
 子供を育てるためには、多くの資源が必要となるので、それが子供の数への制約にもなっている。また、中間層のライフスタイルを維持するための収入を得るために共働き世帯が増えたこと、女性の晩婚化、キャリア優先、そして成果物を重視する仕事ではワーク・ライフ・ハーモニーが欠如しているとタン氏はいう。
 
 また、Covid-19は、人々に雇用と収入の不安定さの影響を与えただけでなく、ますますVUCAな世界になっているという認識を強める要因になったとタン氏は付け加えた。
 
 死亡者数の増加は、シンガポールの急速な高齢化とも一致していて、2022年の主な死因は、がん腫瘍、心臓病、高血圧性疾患で、これらは2022年の登録死亡者数の49.5%を占めている。
 
 さらに、肺および呼吸器系疾患、脳血管疾患(脳卒中や動脈瘤のような脳への血流に影響を及ぼす疾患)も顕著な死因で、それぞれ死亡者の22.1%および5.8%を占めた。
 
 2021年と比較して、肺・呼吸器系疾患による死亡の割合は1.8%増加し、がん腫瘍による死亡の割合は2.5%減少した。
 
 事故、自殺、その他の外因による死亡は全体の3.3%であった。非営利自殺予防センターのサマリタンズ・オブ・シンガポールが発表した数字によると、2022年の自殺者数は476人で、2000年以来最多となった。

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