2023年5月31日
民間企業の22年昇給率6.5%、15年ぶり高さ
シンガポール人材開発省(MOM)が発表した2022年の賃金動向に関する報告書によると、民間企業の名目の賃金上昇率は前年比6.5%だった。前年の3.9%を上回り、2007年以来、15年ぶりの高水準を記録。ただ、物価上昇分を差し引いた実質の賃金上昇率は0.4%と、前年の1.6%を下回った。
調査は民間企業(従業員10名以上)の5,759社、従業員111万9,600人を対象とし、23年1〜4月に実施(回答率85.3%)。シンガポール人と永住権(PR)保持者の賃金について集計した。賃金には中央積立基金(CPF)の雇用主拠出分と、ボーナスに相当する年次変動手当を含む。
業種別の名目の賃金上昇率は、14業種すべてで前年を上回った。宿泊(9.7%)や金融・保険(9.0%)、不動産サービス(8.6%)で高く、製造業は5.7%だった。昇給した企業の割合は全体の72.2%、減給した企業は5.2%。前年はそれぞれ60.0%、6.8%だった。
MOMは23年3月時点の雇用状況について、優秀な人材を維持するためより多くの企業が昇給の意欲を見せていると指摘。ただし景気後退と先行き不透明感が強まる中、昇給率については慎重姿勢だとしており、23年の昇給率は名目、実質ともに22年を下回るとの見方を示した。
(提供:亜州ビジネスASEAN)