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金融

2023年5月25日

リンギット、対シンガポールドルで3.41と過去最低水準に低迷

 マレーシアリンギットはシンガポールドルに対して弱含みで推移し、5月24日(水)には3.4102の新安値まで低迷した。Bloombergのデータによれば、週初めの月曜日の3.38から火曜日の3.39に下落して、昨年11月に記録した3.3764の安値を更新した。
 
 今回の下落で、シンガポールドルの対リンギットに対しての価値は年初から、4.15%上昇したことになる。
 
 メイバンクの主席外国為替ストラテジストであるサクティアンディ・スパート氏は、もし商品価格がさらに下落、中国の経済成長が鈍化、そしてドルの強さが続く場合、リンギットは1ヵ月以内に新たな安値の3.45リンギットを突破すると予想している。
 
 また、世界経済への懸念の高まりを受けて原油やパーム油などの商品価格の弱含みが続いていて、これが最近のリンギットへ影響を及ぼしているようである。USドルの強さは、安全資産への需要や米国連邦準備制度理事会(米連邦準備制度銀行)の強硬なシグナルによって、リンギットにも圧力をかけることになるとサクティアンディ・スパート氏は語っている。
 
 2022年、マレーシアと中国の貿易額は4,871億3,000万リンギットとなり、マレーシアの世界貿易総額の17.1%を占めるという大規模なものとなった。
 
 サクティアンディ・スパート氏は、最新のマレーシアの輸出データから、2023年の初めの4ヵ月間で輸出が2.6%減少し、通年の輸出見通しにも下振れリスクをもたらす。これもリンギットにとって重荷となると述べた。
 
 また、中国経済の弱さもリンギットに対してリスクとなる。マレーシアは中国との間に大きな貿易関係があり、そのため中国経済の弱さはリンギットに影響を与える可能性がある。
 
 昨年11月、サクティアンディ氏は、リンギットのボラティリティーが高まり、シンガポールドルが強靭な状態を維持する場合、リンギットは対シンガポールドルで3.35~3.45にまで下落すると予想していた。
 
 この為替レートは、シンガポールで働くマレーシア人にとっては歓迎すべきニュースであり、リンギットの需要が堅調に推移することが予想される。また、シンガポールで仕事をするマレーシア人が増えることで、マレーシアが直面している人材流出問題が悪化する可能性がある。

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