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社会

2023年4月4日

トレイを返却は、社会的責任であり、罰金のためではない

 新しい調査によると、シンガポール人は食事場所を清潔に保つためにより個人的な責任を持つようになっている。2022年の調査によるとコーヒーショップやホーカーセンターで食事後、95%の回答者がトレイや食器を返却していることがわかった。これは、2022年の初めに導入されたトレイを片付けなかった人への罰金の影響であり、2021年から46%増加したという。
 
 この行動の変化は、罰金による影響が強いかもしれないが、78.4%の回答者が、罰金を避けるためではなく社会的責任を果たすためにテーブルを片付けたと答えている。
 
 さらに、84%の回答者が、テーブルを清潔に保つのは、清掃スタッフや店舗の運営者ではなく、個々が主な責任を負うと思うと答え、2021年の回答者の58%から上昇した。
 
 これらは、シンガポール経営大学(SMU)が2022年7月から10月にかけて、2,020人のシンガポール住民を対象に実施した第5回「公共清潔度満足度調査2022」で明らかになったもので、Covid-19の中、国内の清潔さに対する認識について調査された。
 
 回答者は、公園や緑地、MRTやLRTの駅、モールやホーカーセンターの食品売り場、トイレ、ナショナルデーパレードなどのイベント後など、公共の場でシンガポールがどの程度清潔であると認識しているかを調査された。
 
 SMUの社会学教授で、この研究の共同責任者であるポーリン・テイ・ストラウガン教授は、食事場所での今年の研究結果は、コーヒーショップやホーカーセンターを清潔に保つことは個人責任であるという基準を示していて、社会学の観点から刺激的であると述べた。
 
 しかし、屋外公園やショッピングモール、MRTの駅などの公共の場所に対しては、あまり良い結果ではなかった。2022年の調査結果でシンガポールを清潔に保つのは政府の責任だと考えるシンガポール人は77%に達し、2021年の73%から増加した。
 
 回答者は公共スペースを清潔に保つためには、より多くの清掃員を雇うことにもっとお金をかけるべきだと考えている。
 
 例えば、ゴミ箱が溢れていると、回答者の59%は清掃員が仕事をしていないと考え、81%は清掃サービスにもっとお金をかけるべきだと感じるという。
 
 それに加えて、回答者の90%が、シンガポールが清潔であるのは清掃サービスの効率性のおかげだと考えており、日本のように個人責任が清潔さの理由として高く評価されていないことがうかがえる。
 
 公共スペースを清潔に保つのは清掃員だと考える姿勢は、清掃スタッフの不足や清掃サービスのコストが時間の経過とともに上昇するにつれて、シンガポールが抱える問題を増大させることになると、ストローン教授は指摘する。
 
 また、シンガポールの清掃員の基本賃金は、2023年から6年間、段階的に上昇する「累進賃金モデル」に従って上昇する予定である。これにより、清掃業界により多くの労働者を取り込み、現存のスタッフの労働条件を改善することができる可能性があるが、私たちは、公共空間に対する共通の責任について考え、コストを抑え、清掃員への過度の依存を軽減するために何ができるかを考える時期だとストローン教授は述べた。

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