ニュートリグレード表示、消費者は糖分の少ない飲料を見分けることが出来る

　包装済み飲料に義務付けられた表示制度であるニュートリグレード（Nutri-Grade）は、消費者が糖分の少ない飲料を選びやすくなると、デューク-NUSメディカルスクールの研究者が行った試験で結論付けられた。
 
　ニュートリグレードマークは、飲料を分類するためのAからDの4つのグレードからなり、Dが最も健康に悪影響を与えるものである。製品には、フルーツジュースやジュース飲料、ソフトドリンク、乳製品飲料、インスタントパウダードリンクが含まれる。
 
　デューク-NUSメディカルスクールの試験は、2022年12月のニュートリグレードシステムの公式導入前に138人の参加者を対象に実施された。
 
　実験では、参加者に通常の買い物と同じように、最低50Sドルで少なくとも1つの飲料を含んで、食料品を購入するよう求められました。
 
　実験は、実際のインターネットベースの食料品店を模倣したオンライン食料品店であるNUSMartで行われました。参加者は、飲料が栄養価グレードマークを表示している場合と表示していない場合の2つの異なる買い物体験をした。
 
　デューク-NUSメディカルスクールの保健サービスおよびシステム研究プログラムの健康経済学者であるシン・ソイエ博士は、3月には、ニュートリグレードマークラベリングがAまたはBの評価を受けた飲料の購入を増加させるのに効果的であることが結果から明らかになったと述べた。
 
　この研究の結果は、2月にInternational Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activityにも掲載された。
 
　シン博士は、ニュートリグレードラベルが表示されたショッピング体験で購入された商品は、ニュートリグレードラベルが表示されていない商品に比べて、1回分あたり1.5ｇの糖分が減少したという。この量は、330mlの缶において約2.9gの糖分に相当する。
 
　同プログラムのエリック・フィンケルスタイン教授は、この変化がどれだけ意味のあるものであるかについてコメントし、ニュートリグレードマークの影響は個人の食習慣にも影響を与えると述べた。
 
　フィンケルスタイン教授は、コカ・コーラなどを時々飲む人であれば、大きな違いは生じないが、果汁、炭酸飲料、スポーツドリンクなどの甘い飲み物を頻繁に飲む人は、1年間を通じてCやDからAやBに移行した場合、これらの小さな変化は積み重なって大きな影響を及ぼす可能性があると述べた。
 
　この研究によれば、飲料に関して健康的な選択を促すためにニュートリグレードシステムを使用することは効果的かもしれないが、飲料は買い物かごの一部しか占めていないため、購入商品の全体での栄養価には大きな影響を与えない可能性がある。
 
　また、このように飲料だけにラベルを付けることには限界があり、シンガポールが糖尿病やその他の非伝染性疾患の発生率を減らす目標を達成するためには、追加の政策が必要である。
 
　フィンケルスタイン教授は、シンガポールには「ヘルシア・チョイス」シンボルがあるにもかかわらず、「Cs」と「Ds」を区別するのに役立つわけではなく、単にどれが「As」であるかを特定するだけだと述べている。
 
　教授は、消費者がより良い選択をするのに役立つ、市場でよく受け入れられている食品の包装前ラベルが他にもある。たとえば、肥満率を減らすことが目的なら、カロリーに焦点を当てたラベルが最適だが、全体的な栄養価に焦点を当てることが目的なら、Nutri-Scoreシステムはカロリーだけでなく他の要素も考慮するため、かなり良いものであると、フランス、ドイツ、スペインで使用されているAからEまでの食品を評価する栄養ラベルを指摘した。
 
　デューク-NUSの研究チームは、次のステップとして、実際の消費者データを用いてニュートリグレードシステムの効果を評価することになる。この研究によって、システムの改良と拡大の指針となり、より詳細なデータが得られることが期待される。
 
　健康増進委員会の政策・戦略開発ディレクターであるテレンス・ン氏は、デューク大学・ニュージャージー大学の研究は、ニュートリグレードマークが、消費者が糖分の少ない飲料を識別し選択することを導く良いツールであることを確認した。2023年末には、これらを飲料にも拡大することで、シンガポール人が飲料による糖分の消費を長期的に減らすことができるようにすることを目指すと述べた。