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社会

2022年9月28日

高齢化が急速に進むシンガポール:国民の18.4%が65歳以上

 シンガポールでは高齢化が急速に進んで、2022年には65歳以上の国民の割合が18.4%に増加すると言われている。
 
 これは2012年の11.1%から急上昇していると、9月27日(火)に発表された年次人口概要報告書で発表された。2021年には17.6%であった。
 
 2030年には、国民の約4人に1人、つまり23.8%が65歳以上となるという。
 
 政府の国家人口・人材部門による報告書は、過去1年間のシンガポールの主要な人口動向に関する最新情報を提供している。
 
 市民人口の年齢の中央値は、2021年6月から2022年6月の間に42.5歳から42.8歳へ上昇した。
 
 一方、80歳以上の国民は2012年から70%以上増加し、13万2,000人になった。現在では人口の3.7%を占めている。
 
 日本や韓国など、少子化に直面しているアジア諸国では、同様の高齢化傾向が見られる。
 
 2020年、シンガポールの65歳以上の市民人口の割合は17%で、韓国の16%とほぼ同じだが、日本の29%よりは低いという。
 
 ローレンス・ウォン財務相は、2月の予算演説で高齢化の傾向を強調した。ウォン財務大臣は、シンガポールの高齢化に伴い、2030年までに政府の社会支出増加の大部分を医療が占めることになるだろうと述べた。
 
 リー・シェンロン首相は8月のナショナル・デー・ラリーの演説で、シンガポールの人口が急速に高齢化しているため、差し迫った物品・サービス税(GST)の引き上げは必要である。シンガポールは、高齢のシンガポール人とその家族の医療費負担を軽減するために、より多くの薬物補助を提供するなど、高齢者のケアを充実させる準備をしなければならない。これらはすべて、シンガポールの医療・社会支出が急激に増加していることを意味していると述べた。
 
 また、追加徴収した税金は、高齢者が医療サービスを受けられるように、より多くの病院やポリクリニックなどの施設に資金を提供するために必要であるという。
 
 GSTの引き上げは、2023年1月1日から7%から8%へ、2024年1月1日から8%から9%へと2段階で行われる予定である。
 
 人口報告書によると、人を重要な資源とする小さな都市国家であるシンガポールでは、高齢化の傾向とその影響はさらに深刻なものになるという。
 
 この人口動態の中核的な課題に対処するために、シンガポールは結婚と子育てを引き続き支援する必要があると、同機関は付け加えている。
 
 政府は、シンガポール人が家族を築き、育てることを支援する一連の施策を実施しているが、雇用者、コミュニティパートナー、個人は皆、家族に優しい支援エコシステムを構築するためにそれぞれの役割を果たすことができる。
 
 これは、ワーク・ライフ・ハーモニーを推進する職場から、政府と協力してより複雑なニーズを持つ家族のケアを行うコミュニティグループまで、さまざまなものがある。また、シンガポールは、高齢者が自信と安心をもって有意義に年を重ねることができる家でなければならないと報告書は述べている。
 
 報告書では、国民が健康を管理し、健康長寿を実現するためのシンガポールの取り組みが紹介された。これには、2015年に開始された70以上の取り組みからなる「サクセスフルエイジングのための行動計画」や、2023年に開始される「ヘルシアSG」イニシアチブが含まれる。
 
 また、移民は、シンガポールの人口に対する高齢化と少子化の影響を緩和するのに役立つという。2021年には、2万1,537人が市民権を、3万3,435人が永住権を付与された。
 
 政策研究大学院大学の上級研究員で統治・経済担当のクリストファー・ジー氏は、過去2年間の婚姻件数と出生数の減少を差し引いても、高齢化の長期的なトレンドが加速していることをより強く証明するものだ。医療への公的支出を含む高齢者関連支出は増加せざるを得ないだろうと述べた。
 
 シンガポール国立大学の人類学者で、シンガポール老年学会会長のタン・レン・レン准教授は、エイジズムを防ぐための努力と、相互支援と尊重の社会を培うために世代間交流の機会を増やすべきだという。
 
 また、近年の単身化率の上昇に伴い、一人暮らしの高齢者の割合が増えるため、居住地から徒歩圏内にある地域密着型の介護・支援サービスなど、エイジング・イン・プレイスの支援も充実させるべきであるとした。
 
 

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