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経済

2022年8月17日

2030年までに人口あたりの億万長者数が米国や中国より多くなる

 今後8年間で、シンガポールの人口に占める大富豪の数は、米国や中国、アジア太平洋地域の他の経済圏を上回るまでに増加すると、HSBCは報告書で述べている。
 
 2021年に成人人口の7.5%が100万米ドル(138万Sドル)以上の資産を持つシンガポール共和国は、2025年には大富豪の割合が9.8%に上昇し、さらに2030年には13.4%に跳ね上がると予想されるという。この調査は、市民と永住権保持者からなる居住者人口を対象としている。
 
 HSBCは、大富豪の資産を測定するために、銀行にある現金と、株式や債券などの有価証券への投資額を使用したという。また、不動産(持ち家を含む)については、住宅ローンの残高を差し引いた上で、保有額を算出している。
 
 同銀行によると、アジアでは、シンガポールは2021年に人口あたりの大富豪の割合が8%となったオーストラリアに次いで、すでに2位だという。
 
 2030年には、オーストラリアは2位に転落し、国民の12.5%が100万米ドル以上の現金と資産を保有することになる。
 
 その年には、香港の人口の11.1%が億万長者となり、米国は9%、日本は7.2%、中国は4.4%になる見込みという。
 
 アジアの富の台頭と題された報告書によると、少なくとも25万米ドルの富を持つ住民の割合は、2030年までにシンガポールが67%に上昇し、オーストラリアの70.8%に次ぐ2番目になるという。
 
 HSBCは、アジアにおける大富豪の増加は2035年まで続き、その割合はシンガポールの17%に達し、オーストラリアの15.1%、香港の14.6%を上回ると予想している。
 
 しかし、絶対額で見ると、人口の多い国が引き続きアジアの大富豪をリードすることになる。
 
 中国で100万米ドル以上の富を持つ成人の数は、2021年に1,710万人となった。HSBCによると、その数は2030年には5,040万人に増加するという。
 
 シンガポールの大富豪の数は、同期間に40万人から70万人に増加する。
 
 HSBCのアジア担当チーフエコノミストであるフレデリック・ノイマン氏は、アジア全域で貯蓄が深まり、グローバル金融市場の変動やインフレ率上昇、成長鈍化による苦難に対する回復力をもたらしている。アジアの富の増大は、最終的に何百万人もの人々を貧困から救うために利用可能な社会的資源に光を当てるものでもある。結局のところ、この地域は資本に事欠くことはない。たとえそれが経済間および経済内の両方で不均等に配分されているとしてもであると述べている。
 
 また、世界恐慌以来最悪の経済危機となった2008年以降、アジアの金融資産が米国を上回るようになったと指摘した。アジアの金融資産は2021年には140兆米ドル弱に達し、米国の120兆米ドルを大きく上回る。
 
 世界金融危機後の数年間は、日本がアジアの富の半分以上を占めていたが、2021年には、中国のシェアは46%に上昇し、日本のシェアは4分の1にまで低下している。
 
 しかし、日本を除くアジアの金融資産は約100兆米ドルと、まだ米国に及ばない。現在の一人当たり所得の増加傾向を考慮すると、日本を除くアジアの富は2025年までに米国を上回る可能性がある。日本を除くアジアの億万長者の数は、現在の約3,000万人から、10年後には7,600万人超に急増すると予測しているとノイマン氏は指摘する。

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