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社会

2022年4月4日

国民の大半の人が人種差別を重要課題と感じている

 最近の調査によると、シンガポール住民の大多数は、現在も人種差別が重要な問題であると感じていて、そう感じている人は、若く、高学歴である傾向があることが明らかになった。
 
 世論調査対象者の約56.2%が人種差別は依然として重要な問題であると考えており、2016年版の調査でそう感じていた回答者の46.3%よりも高い数値を示している。
 
 これは、4月2日(土)に発表されたCNA-Institute of Policy Studiesの最新の人種関係に関する調査結果で表面化したものである。
 
 2021年11月から2022年1月にかけて、21歳以上のシンガポール人2,000人以上を対象に調査を行い、少数派が十分に反映されるよう、マレー系とインド系の回答者を全国比率の2倍にしている。
 
 この調査では、回答者が過去5年間で中国人以外の首相や大統領という考え方に寛容になっていることも示された。
 
 調査対象者の多くは、シンガポール系マレー人(82.2%)またはシンガポール系インド人(82%)が大統領になることを受け入れており、2016年のそれぞれ65.5%、70.6%から上昇した。
 
 一方、どの国の国民でもない新人が首相や大統領に就任することには、非常に違和感があると回答している。
 
 全体として、若い回答者の方が年配者よりも、人種差別が今日の重要な問題であると感じていることがわかった。21歳から50歳の回答者の63%がそう感じているのに対し、51歳から65歳の回答者は46.8%、65歳以上の回答者は47.4%であった。
 
 若い回答者が人種差別に強い関心を持っているのは、ソーシャルメディア上で人種問題に関するコメントにより多く接しているためと思われる。年配の回答者は、オンラインメディアへの関与のレベルが低い傾向があると、報告書は指摘している。
 
 また、教育レベルが高い人ほど、人種差別を重要な問題だと考える傾向があり、その差は中国人とマレー人の回答者でより顕著に表れた。
 
 中国人の学位取得者の約68.3%が人種差別を重要な問題と感じており、中等教育以下の学位取得者の34.2%に比べ、その差は歴然としている。マレー系の回答者では、85.4%の卒業生が人種差別を重要な問題だと考えているのに対し、中等以下の教育を受けている人は50.9%であった。
 
 インド人回答者では、63%の卒業生と51.7%の中等教育以下の学生がこのように感じており、あまり差はない。
 
 また、調査結果では、すべての人種の回答者のほとんどが、シンガポールでの成功は人種に左右されないと考えており、2016年の調査での心情と同様であることが示された。
 
 同時に、調査対象者の97%は、マイノリティが人種ではなく能力に基づいて見られることに関して、状況は変わらないか改善されると考え、マイノリティの能力主義の将来について楽観的な見方を示している。
 
 しかし、シンガポールで多数派特権が存在するかどうかについては、回答が分かれた。回答者の約53.9%が、多数派であることがシンガポール社会で有利であることに同意または強く同意しており、2016年の調査結果と同様であった。
 
 この分裂は、多数派人種が他の人種よりも多くの資源や機会を持っているかどうかに関する感情にも反映された。
 
 しかし、少数民族の回答者は、多数派の特権について異なる考えを持っていることが判明した。マレー人とインド人の回答者のほとんどが、多数派の人種のメンバーは一般的に他の人種よりも多くの資源や機会を持っていると同意または強く同意したのに対し、中国人の回答者はわずか42.6%しか同意しなかった。
 
 また、5年前と比較して、シンガポール人のマレー系やインド系を家族として受け入れる傾向がやや強まり、新市民が家族の一員として結婚することへの抵抗感も高まっていることがわかった。
 
 仕事上の関係では、同僚や部下として、シンガポール華人、マレー人、インド人をほぼ同じレベルで受け入れているが、同僚としての新国民の受け入れは低い。
 
 経済政策である民族統合政策(EIP)や自助グループに対しては、77%以上が、EIPはシンガポールの人種間の調和を保つのに役立つと回答し、ほぼ好意的に受け止めていることがわかった。EIPは、住宅委員会のブロックや住宅地での人種割り当てを決定する。

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