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経済

2022年3月23日

雇用は、過去約11年間で最も好転

 シンガポールの雇用主は、今年第2四半期は、過去約11年間で最も良好な雇用見通しだという。
 
 人材紹介会社のマンパワーグループが500社以上の雇用主を対象に行った調査によると、純雇用見通しは25%で、今年第1四半期の見通しから11%ポイント上昇した。
 
 これは、新規雇用を予定している企業の割合から人員削減を予定している企業の割合を引いた純雇用見通しとして、2011年第4四半期以降で最も高い数値だという。
 
 調査対象となった11分野のうち、IT・技術・通信・メディア分野の企業の雇用見通しが最も高く、38%だった。
 
 また、製造業、銀行・金融・保険・不動産業(いずれも26%)、建設業(24%)も好調であった。
 
 最も雇用情勢が悪いのは、レストラン・ホテル(マイナス3%)で、雇用を縮小する企業の方が採用よりも多い唯一のセクターであると予想されている。
 
 この調査では、製造業、小売業、IT産業が、最も寛大な平均増額を計画しているか、または与えていることがわかった。
 
 例えば、製造業では10社中8社以上が3%以上の平均賃上げを予定、または実施した。一方、金融、卸売・小売業では、平均して最も多額のボーナスが支給される見込みである。金融業界では、2社に1社の雇用主が、スタッフに平均1ヵ月分以上のボーナスを支給する方向で検討している。
 
 また、従業員数50〜249人の中堅企業は、中小企業や大企業に比べ、まだ明るいものの、最も弱い見通しであることがわかった。
 
 NeXTキャリアコンサルティンググループのマネージングディレクターであるポール・ヘン氏は、全体的に強気の見通しとなっているのは、平時への復帰を期待する企業の需要が滞っているためだと述べた。
 
 雇用主は、Covid-19の大流行とそれに伴う対策にうんざりしているため、『むしろchiong(福建語で急ぐという意味)』を選ぶというのが市場の心情であるとヘン氏は状況が平常に戻るのを待つのではなく、雇用を急ぐ雇用主について述べている。
 
 しかし、前4半期に雇用が増加したにもかかわらず、熟練した有資格者が不足していることは、楽観的な見方が出来ない理由であると、人材コンサルティング会社ハイドリック&ストラグルズのシンガポールオフィスのパートナーであるトニー・ロー氏は述べている。これは、シンガポールの求人の4分の1以上が6ヵ月以上埋まっていないことからも明らかである。
 
 ヘン氏は、ITと小売セクターの見通しが明るいのは、人材不足を反映しており、これらのセクターの雇用主は、人材を維持するために競争しなければならない。雇用ビザの発給に関する変更も、現実的な課題となっていると述べた。
 
 ホテルとレストランの雇用見通しについて、ロー氏は、海外旅行の回復が不透明であることと、インフレが高いため地元の消費者が必需品への支出を優先していることが、雇用に影響を与える可能性があると指摘した。
 
 レストランについては、ネガティブな見通しである。レストランはまだ慎重になっていると推測する。一緒に食事ができる最大人数は流動的なもので、変更はまた起こるかもしれないと述べた。

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