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政治

2021年9月27日

27日以降の規制強化、ワクチン等最新情報まとめ

 9月24日、シンガポール保健省(MOH)は、9月27日から10月24日までの間、安定フェーズに向けた安全管理装置を取る必要があるとして、社交や飲食店での人数制限の強化など各種対策について以下のとおり公表した。
 
 シンガポールは、2021年8月19日にCOVID-19レジリエンス国への移行の準備段階に入り、日々の感染者数の増加に応じて、医療面での対応能力を強化。また、感染者の大多数、特に若年層またはワクチン接種済みの人は、軽症または無症状であり、自宅で療養できる自宅療養スキームを導入した。しかし、8月末から日々の感染者数は指数関数的に増加し始めている。重症者、つまり、酸素吸入や集中治療室(ICU)でのケアを必要とする感染者数は想定内にとどまっているものの、軽症の感染者数は急激に増加している。多くの軽症者が必ずしも必要がない場合でも病院での治療を希望するため、全体的な医療体制と医療従事者に負担をかけている状況だ。
 
 政府はこれまでも、軽症者には自宅療養が適切であるとアドバイスしてきたが、病院で治療を受けたいという不安は理解しているという。自宅療養の対応と手順もまだ導入したばかりであり、改善を行っている途上。また、自宅療養者数が増えたことで遠隔医療サービスに滞りが生じ、それが軽症者の不安を増幅させることにもなっている。政府は自宅療養プログラムの問題解決を図ると同時に、今後数週間でより多くの感染者に対応できる療養施設をさらに増強していく予定。
 
 ほとんどの感染者は、軽症か無症状であり、自宅療養が医療面で最も適切な対応だという。しかし、感染者数が急増し続けると、特に病院での治療が必要な高齢者の感染者も増える可能性がある。したがって政府は、コミュニティでの感染を遅らせる必要があると判断し、全体的な医療面での対応能力が適切なレベルに増強されるまで、コミュニティの感染対策を強化することを決定した。
 

感染状況の最新情報

 現在、シンガポールでは人口の82%がワクチン接種を完了。この高い接種率により感染者の大多数(98%)は無症状か軽症である。過去2週間に重症化した254人の感染者のうち、48%がワクチン未接種者であり、残りはワクチン接種済みだが、基礎疾患を有している人だった。この数字については次の点に留意する必要がある。現在人口の80%以上がワクチン接種を完了している状況において、重症化の予防効果は約80%から90%であることが示されており、高齢者や基礎疾患を有する者でワクチン接種後でも重症化しやすい人は10%から20%であるということだ。
 
 集中治療室(ICU)での治療を必要とする感染者数は、タイムラグを経て全体の感染者数と同じ割合で増加している。先々週は9人のところ、先週は21人だった。
 

感染者への適切な治療

 12歳から69歳までのワクチン接種を完了した人への最も適切なケアマネージメント措置は、引き続き自宅療養*となる。これらの人は重症化する可能性が低く、病院で治療を受ける必要はない。同様に、2から11歳の感染した子供を持つ親は、病院で自宅治療が適切との判断を受ければ自宅治療を選択できる。

 ※適格基準は、(a)PSAR mRNAワクチンのワクチン接種を完了していること(b)年齢が2から69歳であること(c)その他の重篤な病気や疾患がないこと(d)世帯員に80歳以上、または何かあった時に支援が必要とされる社会的弱者とされる方がいないこと。

 病院施設と病床を最大限に活用し、病院がCOVID-19感染者と、治療を必要とする感染者ではない多くの患者の両方を受け入れられるようにするため、容体は安定しているものの注視が必要なCOVID-19患者については、必要な条件を備えた中程度療養施設に移動させることになっている。
 
 基礎疾患を有し、重症化する可能性がある者で無症状または軽症である者は、Community Treatment Facility(CTF)に収容、モニターされる。CTFは現在各地に設置を進めており、公立病院と緊密に連携し、そのような患者に更なる治療が必要となった場合には直ちに救急病院に搬送するような仕組が整えられている。既存のCommunity Care Facilities(CCF)と類似の仕組みだが、CTFはより高度な医療を備えるもので、安定しているものの重症化のリスクが高いそのような患者に、適切なレベルの医療スタッフ及び設備の下療養を受けられるようにするものだ。
 

安定フェーズに向けた安全管理措置

 感染状況が現状のように継続していくと、今後2週間以内に1日あたり3,200件以上の感染者に達すると予想される。それ以外にもさまざまな可能性があるが、さらに倍増する可能性を排除することはできない。医療への負担を最小限に抑えるために、そうなる前に対策を強化する必要があると政府は判断し、9月27日から10月24日まで以下の措置を実施するとした。実施から2週間後にこの措置の状況を検討し、その後、コミュニティの状況に基づいて調整する。
 

社交の人数

 社交の人数制限は、最大5人から最大2人に縮小される。これに対応し、1世帯あたりの訪問者の最大人数は1日あたり2人までに縮小。他の世帯との社交や、公共の場所での友人や家族との社交であっても、社交の回数は1日1回以下に制限する必要がある。
 

脆弱なグループの保護

 すべての人が社交を減らし、マスクを必ず着用しなければならない。特に、高齢者や重篤になりやすい基礎疾患を有している人は、仕事、食料品の購入、医師の診察、混雑していない場所での運動などの不可欠な活動を除いて、できるだけ家にいる必要がある。
 
 医学的にまだ予防接種を受けることができない児童を保護するために、教育省(MOE)は9月27日から10月6日まで、自宅学習(Home-Based Learning(HBL))がすべての小学校及び特別教育(SPED)学校で実施されることを発表した。小学校6年生は、9月25日から9月29日までの間、小学校卒業試験(PSLE)前の受験休暇を取るが、追加的予防措置として、児童がその週の残りの間を自宅で過ごせるように自宅学習(HBL)期間を10月7日まで延長する。
 
 私立学校(Private Education Institutions(PEI))でも、9月27日から10月10日までの間、12歳以下のすべての生徒に自宅学習(HBL)を実施する必要がある。私立学校の保育園は引き続き開園。この期間、12歳以下の児童を対象とした対面授業や特別クラスは、オンラインで行うか、その他の方法を除き、停止しなければならない。
保育園、教育省(MOE)幼稚園、介護(KCare)サービス、学生ケアセンターは引き続き開くことができるが、保護者は可能な範囲で子供を在宅させることが推奨される。
 

職場の社交を最小限に抑える

 在宅勤務が可能な労働者は、在宅勤務がデフォルトになる。この期間、職場にCOVID-19感染者が出勤したことが判明した場合に全員10日間の在宅勤務となる措置は一時停止される。職場に行く必要がある労働者についても、複数の職場への行き来が引き続き生じないようにする必要がある。職場での懇親会は引き続き禁止。雇用主は引き続きフレックスタイム制とし、労働者の始業時刻をずらさなければならない。
 
 自宅で仕事ができない労働者、請負業者、およびベンダーは、感染した労働者などが出勤するのを防ぎ、職場を安全に保つために、抗原迅速検査(ART)により毎週自己検査をすることが強く求められる。自宅で仕事をすることはできるが、特別な理由で職場に行く必要がある人は、ARTで陰性が確認された後、職場に行くことができる。
 

飲食店(F&B)での食事

 全ての人がワクチン接種を完了している場合、最大2人までのグループで飲食店(F&B)で食事をすることができる。これは、現在の5人から縮小される。イベント前検査(PET)の結果陰性が確認されたワクチン未接種者、感染から回復した人、および12歳以下の子供も、この2人のグループに含めることが可能。
 
 すべての顧客がワクチン接種完了の基準を満たしている状態を確保できない飲食店(F&B)は、持ち帰りおよび配達サービスのみ営業できる。ライブパフォーマンス、音楽放送、ビデオ/テレビ上映などの娯楽は引き続き禁止。また、飲食店の客は、安全管理措置をすべて遵守し、飲食時を除いて常にマスクを着用するように注意しなければならない。
 
 ホーカーセンターやコーヒーショップは、コミュニティに欠かせない食事サービスを提供しているため、これらの施設での食事は、ワクチン接種の有無にかかわらず2人までとなる。
 

アクティビティとイベントのサイズおよびイベント前検査(PET)の要件

 大規模なイベントを参加者にとって安全に実施するためには、ワクチン接種状態に応じた安全管理措置、マスクの着用、適切な距離の取り方などが引き続き必要である。各種集会や礼拝、映画館、MICE、ライブ、スポーツ観戦などのイベントの規模と収容人数の制限は、参加者全員がワクチン接種を完了している場合は1,000人まで。それ以外の場合は、イベント前検査(PET)なしで50人までとなる。これらのイベントでは、12歳以下でまだワクチン接種ができない子供たちへの免除措置があり、ワクチンを接種していない子供が、同一世帯の子供であれば2人まで含めることができる。
 
 婚礼は全員がワクチン接種を完了していれば、2人までのグループで着席して行うことが引き続き許可される。葬儀は10人までの参加者であれば可能。それ以外の場合は、イベント前検査(PET)なしで50人までの参列者が認められる。結婚披露宴に関しては、参加者全員がワクチン接種を完了している場合、1テーブルあたりの人数が5人までであれば引き続き250人まで行うことができる。披露宴に出席する場合は、安全管理措置を厳守し、特に自分のテーブル以外の人との交流を避け、社会的な距離を保つ必要がある。ワクチン接種を受けていない場合や高齢者はこのようなイベントに参加しないことが強く推奨される。
 

対象業種への支援策

 政府は9月27日から10月24日までの期間、今回の対策許可により大きな影響を受ける業種に対する、ジョブサポートスキーム(Job Support Scheme)による支援を25%に強化する。これには、飲食店(F&B)、小売、映画館、博物館、美術館、史跡、家族向け娯楽、観光、ジム・フィットネススタジオ、舞台芸術・芸術教育などが含まれる。(詳細
 
 政府は、政府所有の商業用不動産に入居する対象となるテナントに対し、2週間の家賃免除を実施。また、民間の商業施設の入居者や所有者に対しても、レンタルサポートスキーム(Rental Support Scheme (RSS))*により、2週間分の家賃免除の現金が支払われる。この措置により、「安定フェーズに向けた安全管理措置」期間中の半分の期間の家賃が補助される。

 ※年間売上高が1億ドル以下の中小企業および非営利団体で、適格な商業施設の借主または所有者である場合、賃料の軽減措置が受けられる。

 国家環境庁(NEA)またはNEAが任命した事業者が管理するセンターの調理済食品店や売店の出店者には、2週間のレンタル料が免除される。
 
 タクシーおよび自家用ハイヤーのドライバーを支援するための「COVID-19ドライバー救済基金」の支払いはそれぞれ10月に1台あたり10ドル、11月に5ドルとなる。
 
 支援策の総額は6億5,000万Sドル。これは、これまでに得られた想定を上回る政府収入から支出され、過去の剰余金を引き出すことはない。
 

すべての人に定期的な自己検査を奨励

 定期的な検査は、COVID-19感染の可能性を早期に発見するために重要であり、検査で陽性となった人は、予防措置として自己隔離を行い家族や友人、同僚を守ることができる。今回配布されたキットを利用して、市場やホーカーセンターなどの人混みに行く前や、お年寄りや子供を訪ねる前に自己診断を行うよう政府は推奨している。また、自宅で仕事ができない人や学校に通わなければならない人も、自己検査を行うことが求められる。
 
 現場で働く従業員がいる企業で、まだRRTが義務づけられていない企業は、既に発表されているように、現場の従業員1人あたり8個の抗原迅速検査(ART)キットを申請し2ヶ月間にわたって毎週検査を行うことができる。申請は10月13日まで。自宅で仕事ができない従業員を抱えている企業は、ARTキットの申請を行うことが推奨される(詳細)。
 
 10月1日からは、直近でCOVID-19の感染確認者が多く発生している地域の地図がMOHのウェブサイトで公開される。同時期にこれらのホットスポットに行ったことがある人は、健康状態をよく観察し、感染の可能性が考えられる日からの10日間は定期的に抗原迅速検査(ART)による自己検査を行い、他人との不必要な交流を最小限にすることが求められる。SafeEntryとTraceTogetherは濃厚接触者の確認や、感染が拡大している地域での感染について、健康リスクアラート(Health Risk Alerts)と健康リスク警告(Health Risk Warnings)を通じて個人に通知するために引き続き使用される。
 
 また、隔離や健康リスクアラート、健康リスク警告など、さまざまな検査に関する問い合わせも多く寄せられているとして、政府は新聞の政府広告を通じ、国民に情報を提供していく予定。
 

急性呼吸器症状のある人のための週末検査オプションの追加

 現在、急性呼吸器症状のある人は、「スワブ・アンド・センド・ホーム(Swab and Send Home(SASH))クリニック」という民間のGPクリニックでPCR検査を受けることができる。しかし、すべてのSASHクリニックが週末に開いているわけではないため、そのような人々に対応できない状況もある。そこで政府は、9月25日(土)より、8つの地域スクリーニングセンター(Regional Screening Centres (RSC) )と3つのクイックテストセンター(Quick Test Centres(QTC))を土日に開設し、無料でPCR検査を受けることができるようにした。
 
 週末のRSCやQTCの利用は、混雑を避けるために予約制となる。予約は各週末の金曜日午後6時から日曜日午後3時まで、その週末の予約のみ受け付け(詳細)。症状のある場合は、必要に応じて適切な治療を受けられるよう、PCR検査を速やかに受けることが推奨される。これは家族や同僚、友人など、感染者と接触する可能性のある方の感染を早期に防ぐことにも繋がる。
 

ブースターワクチン接種戦略の拡大

 シンガポールは9月15日、60歳以上の方と高齢者施設の入居者を対象にブースタープログラムを開始した。9月23日現在、約91,500人の高齢者がブースター接種を受け、これまでにブースター接種の案内を受けとった高齢者の56%が予約をしたか、またはすでにブースター接種を受けている。
 
 COVID-19ワクチン接種に関する専門委員会(EC19V)は、ワクチンの追加接種の必要性に関するデータを注視してきた。更なる勧告として50歳から59歳に対し、一次ワクチン接種を終えてから6ヶ月後にPSAR(注:政府の医薬品暫定承認制度)のmRNAワクチンのブースター接種を行うことを推奨している。50歳から59歳の成人は、若年層に比べて基礎疾患のリスクと、重症化するリスクが高くなる。また、多くの国民が一次ワクチン接種を本年前半に完了しているため、時間の経過とともに防御レベルが低下している可能性があるという。国民全体の免疫力を高めることで、重症化に対する高い防御力を継続的に維持することができる。
 
 健省(MOH)はEC19Vの勧告に同意しており、10月4日より、少なくとも6ヶ月前に2回のワクチン接種を終えた50~59歳を対象に、PSAR承認mRNAワクチンのブースター接種の案内を順次行っていく。一次接種時に登録した携帯電話番号に、個人用の予約リンクを記載したSMSを送信し、www.vaccine.gov.sgで新たな予約を受け付ける。対象者はワクチン接種センター、ポリクリニック、対象のPublic Health Preparednessクリニック(PHPC)でブースター接種を受けることができる。
 

モデルナワクチンの投与量

 EC19Vは、ブースター接種に使用されるモデルナワクチンの投与量もさらに検討し、免疫反応を大幅に向上させるには50μgの投与量で十分であるという証拠を踏まえて、ブースター接種で使用するモデルナワクチンの投与量を50μgとすることを推奨している。ワクチンを効率的に使用するため、EC19Vの勧告に基づき、9月25日よりモデルナワクチンを導入している接種施設では、一次接種の際には投与量を引き続き100μg、ブースター接種では投与量を50μgとする。なお、すでにブースター接種で100μgのモデルナワクチンを接種している場合について、安全性の懸念はない。
 
 モデルナワクチンの投与量については、一次接種の2回、および免疫不全者のための3回接種では引き続き100μgとされる。ファイザービオンテックワクチンについては、一次接種、ブースター接種ともに投与量に変更はなし。
 

COVID-19に強いシンガポールに向けて

 シンガポールはCOVID-19レジリエンス国へと移行するための道を歩んでいるが、まだ準備段階にあり、COVID-19を風土病とみなすことのできる段階には達していない。COVID-19と共存していくためには、医療システムを守り医療キャパシティを超えないないようにするため、対策を継続的に調整していく必要があるという。この安定化期間中、感染リスクを低減し、地域社会での感染のペースを遅らせるために、安全管理措置を遵守するよう国民の協力が求められる。
 

提供:在シンガポール日本国大使館

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