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政治

2021年9月16日

隔離期間の短縮と自宅療養の要件まとめ

 9月14日、シンガポール保健省(MOH)は、COVID-19に強い国家に向けた医療面での対応の更新として、濃厚接触者の隔離命令を14日間から10日間に短縮、感染者の自宅療養への移行について以下のとおり公表した。
 
 先週、関係省庁タスクフォース(MFT)が発表したように、シンガポールがCOVID-19レジリエンスに移行する中で感染者数が増加しているため、医療面での対応を2点調整する必要が出てきた。第一に、自宅隔離制度を調整。接触者追跡職員が病院、学校、高齢者が頻繁に訪れる市場などでの大規模化しやすいクラスターが発生した場合の追跡作業に集中できるようにした。その他、散発的な感染の場合は、感染者の世帯の同居者がウイルスにさらされるリスクが最も高いため、これら同居者を隔離する。さらに、TraceTogetherデータを使用して、既存の対策に基づいて健康リスク警告(Health Risk Warning(HRW))と健康リスクアラート(Health Risk Alert(HRA))が送信される。
 
 第二に、感染者の98%以上は無症状か軽症であるため、遠隔医療モニタリングのサポートにより、より多くの感染者が自己隔離し、自宅で必要な健康予防策を講じることができるように、自宅療養スキームを拡大。これにより、真に医療を必要とする人のために病院の収容能力が確保され、感染者数が増加してもすべての人に適切な医療を提供し続けることができる。
 

自宅隔離の調整

 2021年9月11日より、隔離期間は、COVID-19感染者との直近の接触日から14日間だったものが10日間に短縮された。ただし、隔離対象者(Person-under-Quarantine(PUQ))の隔離終了時における検査で陰性である場合に限る。9月11日より前に隔離命令(Quarantine Order(QO))を受け取り、10日以上の隔離を終え、PCR検査結果で陰性である隔離対象者(PUQ)は、隔離命令(QO)が取り消される。取り消された後、すべての隔離対象者(PUQ)は、(感染者との直近の接触日から)11日目から14日目までの間、抗原迅速検査(ART)を自身で実施する必要がある。
 
 現在、コミュニティでの濃厚接触者の10人に7人が自宅隔離を望んでいる。保健省(MOH)からの通知を受けた後、自宅隔離希望者はPCR検査受検時を除き、隔離期間中は自宅に留まることになっている。自宅隔離要件は遵守されており、またコミュニティでの感染者は、保健省(MOH)が濃厚接触者を特定する際、非常に協力的であったという。 政府はこの経験を踏まえ、感染者数の増加に伴い、2021年9月14日から制度を調整した。現在の措置と同様に、隔離に適切でない家に居住している人は、政府の隔離施設での隔離を要請することができる。

 
 学校、病院、または高齢者が頻繁に訪れる市場などの大規模になりやすいクラスターに対しては、感染者追跡職員が引き続き直接追跡作業を実施。小規模な感染の場合は、新たに感染したことが確認された者すべてにオンラインポータルを通じて、感染症法に基づき、世帯の連絡先、同居する濃厚接触者を登録する必要があることを通知するSMSが送信される。同居する濃厚接触者は、感染者との直近の接触日と連絡先番号を登録する必要がある。
 
 登録者には、隔離期間とPCR検査予約の案内が示されている電子隔離命令(eQO)が送信される。その後、隔離対象者(PUQ)はオンラインで、自宅近くの地域スクリーニングセンター(Regional Screening Centre(RSC))におけるPCR検査を予約することが可能。隔離対象者はPCR検査受検、無料の抗原迅速検査(ART)キット受領のために地域スクリーニングセンター(RSC)に行き、自身で毎日抗原迅速検査(ART)を実施し、結果をアップロードする。体調が悪い、または治療が必要な場合は、隔離対象者(PUQ)は、24時間対応の遠隔医療サービスにアクセスすることができる。
 
 健康リスク警告(HRW)および健康リスクアラート(HRA)もこれらの調整に関係する。9月14日から、HRWによる対応期間は、隔離命令(QO)を10日間とする体制への移行に合わせて、直近の感染者との接触日から10日間に短縮された。保健省(MOH)は、TraceTogetherデータに基づいて感染者の濃厚接触者にHRWを発行。この対象は同居による濃厚接触者とは異なり、隔離対象者(PUQ)と比較して感染のリスクは低いことが考えられる。HRWを受領した場合は、PCR検査を受け、陰性結果を受け取るまで自己隔離し、HRWを受け取ってから10日間で3回の抗原迅速検査(ART)を実施し、HRWを終える時点で再度PCR検査を受検することが法律で義務付けられている。
 
 健康リスク警告(HRW)に加えて、TraceTogetherデータに基づくCOVID-19感染者との接触時間が比較的短い場合、または過去14日間のSafe Entryの記録が感染増加場所に重なる場合は、健康リスクアラート(HRA)が発行される。このグループは、感染のリスクが濃厚接触のリスクよりも低いものの、直接または間接的に感染のリスクにさらされた人である。 HRAを受け取った場合は、10日間、自分の健康状態を監視し、無料のPCR検査を受け、接触の可能性がある日から10日間は定期的に抗原迅速検査(ART)で検査を行い、他の人との接触を最小限に抑えることが強く求められる。
 
 同居による濃厚接触者であることを政府に登録するよう言われ電子隔離命令を受ける場合と、健康リスク警告(HRW)または健康リスクアラート(HRA)を受領するのが重なる場合もある。その場合は、隔離が優先される。ただし、自宅隔離登録(Home Quarantine registration)の提出後でも健康リスク評価の結果HRWに変更される可能性がある。
 

自宅療養への移行

 9月15日より、以下に該当する場合は自宅療養が基本となる。
 
 a)ワクチン接種を完了している
 b)年齢が12ー50歳である
 c)無症状または軽症である
 d)重篤な疾患や病気がない
 e) 同居者に80歳以上の高齢者、または高リスク者(例:妊娠中の方、免疫力が低下している方、複数の合併症を抱えている方)に該当する者がいない
 
 上記の基準を満たしていれば、自宅療養(Home Recovery)をすぐに開始することができる。自宅療養者はバスルーム付きの部屋を確保する必要がある。
 
  病院や療養施設(Community Care Facility)に行く必要はない。自宅療養する患者は、自宅療養の初日に、遠隔医療提供者による初回のリモート診察を受け、医学的に良好であるか確認される。また、自宅療養者には隔離命令(Isolation Order)が出され、自宅の指定された部屋に留まることを確認するため電子監視装置が付けられることがある。
 
 COVID-19の検査で陽性となった子どもの親は、子どもが5歳以上で基礎疾患やその他の病気がない場合は、子どもを家に連れて帰り自宅療養をさせることが出来る。子どもの安全のため、自宅療養をさせる前に、まずは必ず病院で診察を受ける必要がある。
 
 自宅療養の場合には、注意すべき兆候や症状に関するアドバイスなどの情報が提供される。必要に応じて、体温計、パルスオキシメーター、サージカルマスク、手指消毒剤が入ったケアパックをリクエストすることができる。また、自宅療養を開始すると、自宅療養支援者(Home Recovery Buddy)が患者に連絡をし、患者の様子の確認や、体温計とオキシメーターの使用方法を説明する。COVID-19患者は、提供されるケアダイアリーを使用して、体温、脈拍、血中酸素飽和度(SpO2)などの健康状態を少なくとも1日1回測定・記録する必要がある。万が一、医療支援が必要になった場合は、指定された遠隔医療機関に24時間アクセスすることができる。
 
 自宅療養中は、同居者全員が衛生状態を良好に保つ必要がある。患者は感染を防ぐため、他の同居者との物理的な接触や対面接触を避けなければならない。同居者全員に電子隔離命令(eQO)が発行される可能性が高いため、食品や食料品などの生活必需品を注文する際には、非接触型の配送を手配すること。
 
 自宅療養中のCOVID-19患者は、自宅療養期間を早く終了させるために、指定された遠隔医療サービス提供者に連絡をし、発症6日目にPCR検査の手配が可能である。検査結果が退院基準を満たす場合(すなわち、PCR 検査の結果が陰性またはウイルス量が少ない場合)、患者は発病後7日目に自宅療養を終了できる。それ以外の場合、自宅療養期間は、患者の体調が良好である場合、特に追加検査をすることなく、感染10日目に終了する。自宅療養終了後は移動の制限を受けることはないが、終了後さらに7日間は社会的な交流を最小限に留めることが推奨される。患者が休息や回復のため更に療養が必要である場合、遠隔医療サービス提供者に対し療養指示書(MC、加療期間は最大7日間)を求めることができる。これらは医療機関の退院基準に沿ったものである。
 
 自宅療養中で同居者が隔離命令(QO)に従っている場合、感染者はQOを行っている同居者よりも早く自宅療養期間(Isolation Order)を終了する可能性がある。ワクチン接種を完了した感染者の場合、ウイルス量は非常に早く減少し、通常は7日目までに消滅するが、QO期間中にウイルスに暴露したという場合にはウイルスが増加して発症するまでに10日間かかることがあるためだ。
 

誰もが自分の役割を果たす必要がある

 自宅隔離、健康リスク警告(HRW)、健康リスクアラート(HRA)、自宅療養をより広範囲に活用することで、COVID-19の感染者に適切なケアと自己隔離を確保し、さらに感染のリスクをより幅広くかつ持続的に軽減することができる。このアプローチには、個人の責任とセルフケアの向上に向けた社会全体の取り組みが必要である。それぞれが自分の役割を果たすことで、シンガポールはCOVID-19に強い国になるために共に前進することができる、と政府はメッセージを発信した。
 

提供:在シンガポール日本国大使館

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