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経済

2021年5月26日

シンガポール航空、2050年までに二酸化炭素の排出ゼロ目指す

 シンガポール航空グループは、グループ全体の二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を発表した。同グループは長期的戦略として、事業全体を通じて脱炭素化と持続可能な環境づくりへの取り組みを強化していく。
 
 シンガポール航空グループであるシンガポール航空、スクート、シンガポール航空カーゴは、次世代航空機への投資、運航効率の向上、持続可能な航空燃料などを使用した低炭素技術の導入や高品質なカーボン・オフセットの調達など、あらゆる手段でこの目標達成を目指す。
 
 シンガポール航空グループは、コロナ禍でも持続可能な目標を達成するために複数のプロジェクトに取り組んでいる。その一例として、同社グループのシンガポールにある全てのオフィスビルに太陽光パネルを設置。これにより再生可能エネルギーを発電し、ビルの電力需要の最大18%、あるいはシンガポールの住居(4部屋の間取り)約2,300戸で1年間に使用する電力に匹敵する電力量を賄うことができるという。
 
 またシンガポール航空は2020年、短距離路線のエコノミークラスを対象に、新しいコンセプトの機内食を発表し、乗客がより多くの選択の中から食事を選べるようにした。新しい機内食は、食器類として持続可能な紙容器や竹製のカトラリーを使用し、客室での使い捨てプラスチックの使用量を削減。これにより容器の総重量が50%軽くなり、燃費の向上に繋がっている。さらに、使用した食器類や食品廃棄物などはエコ・ダイジェスター装置により、化石燃料や石炭に代わる廃棄物由来のエネルギー・ペレットに変わる。
 
 シンガポール航空 CEO のゴー・チュン・ポンは次のように述べている。
 「新型コロナウイルスが流行する中でも、私たちは持続可能な目標の達成に向け前進しています。この取り組みは、私共のお客様と従業員の双方にとって益々重要な問題であると認識しています。シンガポール航空グループは業界のリーダーとして『二酸化炭素排出実質ゼロ』の目標を掲げることで環境負荷削減に対する取り組みを強化して参ります。今日、航空会社にとって、脱炭素への最も効率的で直接的な方法は若い機材を運航することです。シンガポール航空グループの平均機齢は6年以下で、世界でも最も若い機材を運航する航空会社グループの一つです。昨年は45機の航空機が退役し、今後は順次、排出ガスを旧型機比で最大 30%削減できるより燃費効率の良い次世代航空機へ切り替えます。引き続き、政府や航空業界、そして世界中のビジネスパートナーの皆様と共に排出ガス削減に努めていきます。」

 

2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを達成するための施策

 シンガポール航空グループの平均機齢は5年10ヵ月で、常に最新技術への投資を行っている。航空機発注リストには、エアバス A350-900およびA320neo ファミリー、ボーイング 777-9、787 ファミリーや737-8MAX などの次世代モデルが含まれる。これらの機材は、旧型機に比べて最大30%の燃費が向上し、二酸化炭素の排出量を削減できる。
 
 また運航面の手順を改善し、燃費を向上させることにも注力。シンガポール航空グループでは、抗力の低減やエンジン効率を上げる航空機やエンジンの整備改善プログラムに投資している。さらに、機体の重量を管理し燃料使用量を削減したり、飛行ルートの最適化を図るといった取り組みを通じて、燃料の生産性を引き続き向上していくという。技術面やデータ分析のイノベーションは、目標に向けより大きく前進するために必要不可欠であることから、同グループは今後も研究機関と協力し、更なるアイデアを探求していく方針。
 
 シンガポール航空は、2011年から「持続可能な航空燃料ユーザーグループ(Sustainable Aviation Fuel UsersGroup:SAFUG)」に加盟し積極的に活動してきた。2017年にシンガポール航空は、持続可能な航空燃料や低燃費の航空機、最適化した航空交通管理を取り入れた「グリーン・パッケージ・フライト」をサンフランシスコ-シンガポール路線で運航開始。2020年には、ストックホルムの空港管理会社スウェダヴィアと協力し、ストックホルムから出発するフライトに持続可能な航空燃料を搭載した。このような活動を通じて、同グループは再生可能な燃料の物流および調達に関する理解を深めてきた。シンガポール航空は積極的にビジネスパートナーやステークホルダーと協力し、ネットワーク全体で持続可能な航空燃料の採用を拡大する機会を模索している。
 
 二酸化炭素の排出を直接削減する他に、カーボン・オフセットも重要かつ補完的な役割を果たすことができると考え、シンガポール航空グループでは、2020年から航空業界が二酸化炭素排出量の増加に歯止めをかけることを目的とした「国際航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(Civil Aviation Organisation’s Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation:CORSIA)」に参画。特にオフセットは中期的かつ、長期的にも残留排出量を緩和するために重要だと見られている。同グループは引き続きパートナーシップを通じて、高品質なカーボン・オフセットを調達できるための方法を探求する。
 
 シンガポール航空のサステナビリティに関する取り組みの詳細は、公式ウェブサイト(5月25日現在英語のみ)を参照の事。
 

提供:シンガポール航空

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