2020年12月4日
居住労働者の賃金が16年ぶりに低下=労働力速報
シンガポールの労働者のうち居住者(国民と永住者)の6月の賃金が前年を下回った。前年比での減少は16年ぶり。しかし居住者の就労率はパンデミック以前の水準に戻った。
人材開発省が3日発表した2020年労働力速報によると、居住者の名目賃金の中央値は月4,534Sドル(約35万円)で、前年比0.6%減少した。
インフレを考慮した実質賃金は0.3%の減少になる。調査対象はフルタイムで働く労働者で、賃金にCPF(中央積立基金)の雇用主負担は含まれない。
所得下位20%の層の賃金は4.5%減の2,340Sドル(約18万円)。低賃金労働者はパンデミックの影響を受けた産業部門に多い。
就労奨励金などの補助金を加えると、所得下位20%の層の賃金は前年並みになるという。給与振り込みにDBS銀行を利用している労働者の振り込み動向からも、低所得者が最もウイルス禍の影響を受けていることが分かった。
年齢25~64歳の就労率は80.3%と高水準で安定している。ジョセフィーヌ・テオ人材相によると、失業率は上昇しても高い就労率は維持可能だ。求職する新卒者、女性、高齢者が増加しているため、労働力を離れる居住者より、加わる人が多いためだ。
職業別では、専門職者・部長級管理職・エグゼクティブ・技術者(PMET)以外の労働者で失業率の上昇率が1.7ポイントとPMETの0.6ポイントを上回った。