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政治

2020年11月9日

来年度予算案発表、過去最大規模の3,225億リンギに

 テンク・ザフルル財務相は11月6日、下院議会に2021年度(2021年1月1日~12月31日)予算案を提出した。
 
 新型コロナウイルス「Covid-19」対策などの支出増加のため、予算規模は過去最高の3,225億4,000万リンギ(約8兆635億円)となり、今年度予算の2,970億リンギを255億4,000万リンギ(約7兆4,250億円)も上回った。2021年の歳入は2,369億リンギ(約5兆9,225億円)の見込み。なお今年の歳出は当初予算を177億リンギ(約4,425億円)オーバーして3,147億リンギ(約7兆8,675億円)となり、財政赤字の対国内総生産(GDP)比は当初の見込みの3.2%から6.0%に大幅に上昇した。
 
 来年度の一般歳出は2,365億リンギ(約5兆9,125億円)で全体の73.3%を占めた。開発予算は690億リンギ(約1兆7,290億円)で全体の21.4%、このほか新型コロナウイルスの対策基金として5.3%に当たる170億リンギ(約4,250億円)を割り当てた。予算のテーマは「我々の強さは我々の集団的勝利にある」で、▽国民の幸福▽ビジネスの継続性▽経済的回復力——の3つの柱に基づく。
 
 新型コロナ第3波対策として10億リンギ(約250億円)を計上。4億7,500万リンギ(約118億7,500万円)を検査薬や消耗品の購入、3億1,800万リンギ(約79億5,000万円)を個人用保護具(PPE)の購入、1億5,000万リンギ(約37億5,000万円)を国家災害管理局(Nadma)にそれぞれ充てる。医療最前線のスタッフに500リンギ(約1万2,500円)の一時金を支払う。
 
 低・中所得者向けの支援策「Kita Prihatin(私たちの関心事)」基金への拠出額をこれまでの200億リンギ(約5,000億円)から650億リンギ(約1兆6,250億円)に増額する。
 
 生活費に困窮している人に配慮し、従業員積立基金(EPF)の第一口座から向こう12ヵ月間、最大で月々500リンギの引き出しを認める。また2021年1月から従業員の最低拠出率を9%に引き下げる。このほか生命保険やタカフル購入、重大な疾病に際しては第2口座からの引き出しを認める。
 
 年収5万~7万リンギ(約125万円~約175万円)を対象に所得税率を1ポイント引き下げる。140万人が対象になるとみられる。また最初の住宅購入に際する印紙税を、50万リンギ(約1,250万円)を上限に免除する。
 
 「プリンシプル・ハブ」の税制優遇条件緩和を2022年12月31日まで延長する。また選ばれた製造業におけるマレーシアへの移転に伴う税制優遇措置についても、2022年12月31日まで延長する。
 
 国家デジタル・ネットワーク(JENDELA)に5億リンギ(約125億円)、2021~22年にかけブロードバンドサービス拡充のため74億リンギ(約1,850億円)を計上する。ブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)底上げに向けて46億リンギ(約1,150億円)を割り当て、またブミ中小零細企業向けの融資に5.1億リンギ(約127億5,000万円)割り当てる。石油・ガスや航空宇宙産業などの高技術企業に30億リンギ(約750億円)を充てる。

(提供:ASIA INFONET.COM

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