2020年10月27日
9月の工業生産額が予想外の大幅増、薬品・半導体がけん引
シンガポールにおける9月の製造業の生産額は前年同月比24.2%の増加だった。大方のエコノミストにとり予想外の大幅増で、通産省は通年の生産額予想、さらには国内総生産(GDP)予想を上方修正する可能性がある。1~9月の生産額は前年同期比10%の増加になった。経済開発庁が発表した。
生産が急増したバイオ医学部門を除くと9月の生産額は8.5%の増加になる。前期比では10.1%の増加で、バイオ医学を除くと1.6%の減少になる。
前年同月比での部門別生産額は、バイオ医学が90%増だった。うち薬品生産が114%増、医療機器生産が15%増だった。
電子部門の生産は30%増で、半導体生産が37%増とけん引した。クラウドサービス、5G(第5世代通信)、データセンター関連需要で半導体生産が増加した。
メイバンク・キム・エン証券のエコノミストは「シンガポールはパンデミックが誘因の半導体、薬品、医療機器需要の恩恵を受けている」と評した。
化学部門の生産額は0.4%増。特殊薬品の生産は増加した。しかし石油化学品、石油製品の生産が減少した。保守のための操業停止があったためだ。
精密工学部門は1.5%減で、減少は5月以来。その他製造部門は8%減と不振が続いている。最悪は輸送工学部門で36%減だった。リグ・造船など海洋・オフショアが41%減、航空機保守など航空宇宙が44%減で、原油価格の低迷、航空需要の急減が主因。