2020年10月16日
産業支援は個別企業への支援に軸足、補正予算案討議で副首相
シンガポールのヘン・スイーキアット副首相兼財務相は15日、補正予算案をめぐる審議を締めくくる演説で、業界全体を支援する方式から、支援対象を絞った手法に転換する方針を明らかにした。破たんした場合、シンガポールの国際競争力あるいは安全保障に深刻な影響を与える企業を戦略的能力のある企業として支援し、破たんを回避させるという。
KGI証券のアナリストは、政府系企業、銀行、通信会社がこうした企業に含まれると指摘した。個別企業では、シンガポール航空やリグ建造・造船のセムコープ・マリーンなど、ビジネス生態系を構築した、多数の労働者が働く会社が支援対象になるとの見通しを示した。
ヘン氏は、コロナ禍対策でさらに財政出動が必要になった場合、過去の政権が蓄積した剰余金の再引き出し許可を大統領に申請するとしつつも、経常支出は経常収入で賄う、との姿勢は維持すると強調。いずれ物品・サービス税(GST)は引き上げるとした。補正予算はほとんどが開発支出の組み替えとなる。
インフラ整備では、国際航空需要の回復に時間がかかると予想される場合、チャンギ空港第5ターミナルは着工をさらに延期し、規模縮小も検討するという。