2020年10月7日
商取引での迅速な支払い、8年来の水準に悪化
シンガポールで企業の支払い能力が悪化している。コンサルタントのD&Bシンガポールによると、第3四半期における「迅速な支払い」の割合は38.4%で、前期の40.1%より悪化した。2012年第2四半期以来の低水準だ。
D&Bは、信用調査のシンガポール・コマーシャル・クレジット・ビューロー(SCCB)がカバーする企業の取引160万件を調べた。請求額の90%以上を期限内に支払うと迅速な支払いとされる。
「支払い遅延」の割合は45.8%から44.2%へ減少した。期限内の支払いが請求額の50%以下の場合、支払い遅延とされる。代金の50~70%を期限内に支払う「一部支払い」の割合は14.1%から17.5%へ増加した。
約75%の業種で支払い遅延が増えた。特に建設業では高く、56%と前期より4ポイント増加した。コロナウイルス禍を理由とする経済活動の制限で建設工事は事実上ストップし、建設会社の経営が悪化した。
製造業でも支払い遅延の割合は38.5%から39.6%へ増加した。一方、小売業では51.2%から42.3%へ改善した。6月19日、活動制限解除で営業を再開できたためだ。特に雑貨販売、衣料品・アクセサリー販売、飲食業の支払い状況が改善した。
「一部支払い」の増加傾向は続くとD&Bはみている。