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政治

2020年6月12日

自国優先は国際制度に脅威、国民向けメッセージでテオ上級相

 テオ・チーヒアン上級相(治安担当調整相)は11日、テレビを通じた国民向け放送でコロナウイルスCovid-19後の展望に関し演説した。同ウイルスを「40数年に及ぶ公務員生活で経験した最大の難題」と表現。グローバリズム、市場開放を当たり前のことと信じて育った国民も、それを当然とは考えられなくなっていると、ウイルス騒動がもたらした変化を指摘した。ウイルス禍に関する閣僚メッセージはテオ氏が3人目。
 
 テオ氏は地政学上の動きがCovid-19をきっかけに加速したとして、中国と米国の対立、国際サプライチェーンの崩壊、複数国における社会的分裂を例に挙げた。
 
 排外主義、保護主義が強まり、各国は自国の短期的利益を図るため一方的行動に出て、協調的対応を目指す国際組織の働きを妨害していると指摘。「70年余りにわたり平和裏に発展する機会を各国に与えた国際制度が脅かされている」と暗に某外国政権を批判した。
 
 国としてシンガポールはパンデミックのさなかにあってサプライチェーンの維持に貢献してきたと強調。世界貿易機関(WTO)の場でも、デジタル経済に適応した規則改定を通じ国際貿易に協力していると述べた。
 
 終わりに「偏狭な自国利益追求は世界を貧しくするが、正しい考えに基づく自国利益はすべての人により良い結果をもたらすための協力作業の形をとる」と述べた。

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