2020年5月26日
サーキットブレーカー後の緩和措置について
シンガポール政府は、6月1日(月)の深夜をもって「サーキットブレーカー」を解除します。解除は3段階(3フェーズ)に分けて行うことが発表されました。今後、どのように活動再開がされていくのかを解説します。
1段階(フェーズ1):最低4週間
職場
最初は感染リスクの高くない経済活動を再開しますが、高いリスクのある社会活動、経済活動、娯楽活動は閉鎖を維持されます。社会機能の維持に重要とみなされる業種の事業体は、職場での営業再開が認められますが、職場に出向くのは必要不可欠な時のみで、基本的には、引き続き在宅勤務が推奨されます。
営業再開が認められるのは、エアコン保守、ペットサービス、理容サービスなど。髪の化学的処理、髪染めは可能。しかしフェイシャル、糸を使った眉毛処理、マニキュアサービスを提供する美容サロンは営業再開できません。
飲食店は引き続き、店内飲食は認められず持ち帰りとデリバリーのみの営業となります。
自動車ショールも営業を再開できませんが、オンラインを通じた販売は引き続き可能で、車は購入者宅に届けます。自動車修理工場は再開を認められ、保守サービスを提供できるようになります。(現在は緊急時対応のみ許可)
外貨両替商は、店頭での職員数を制限でき、客に対し安全確保の措置を講じることができることを条件に、金融管理庁(MAS)が案件ごとに審査して許可されます。
ペットショップでの動物に対する手入れ、物理療法、リハビリは認められます。
※営業再開できる事業者のリスト(pdf)
【職場における安全管理措置】
職場再開にあたり、事業者は職場の安全管理措置を行い、従業員はこれを厳守しなければなりません。事業者が安全管理措置を行ってない場合や、従業員が厳守してない場合には、職場を閉鎖せざるを得なくなりますので、注意が必要です。(参考リンク)
学校
幼稚園・保育園は、6月2日から6月10日までに段階的にレベル別に再開されます。
小・中学校は、卒業年次の生徒は毎日登校。それ以外の学生は週ごとに、自宅学習と学校での授業を交互に受けます。高等教育機関の学生は、学期中であれば、講義はオンラインですが実習や実験のためにキャンパスに戻ることもできます。
すべてのスタッフと学生は,学校やキャンパス内ではマスクやフェイスシールドの着用が義務付けられます。
医療サービス
西洋医学に基づく医療サービスおよび代替医療であるアーユルベーダ、カイロプラクティック、整骨療法、さらに中国医学に基づく鍼治療は許可されますが、ボトックス注射など美容整形は許可されません。
入院患者を見舞えるのは最多2世帯の家族で、5人までを訪問予定者として登録できますが、一時に見舞えるのは1人となります。
病院における外来診療は再開を許可されます。医師は治療を緊急に必要としている人を優先します。これには、延期を要請されていた白内障手術、子どもの人工内耳手術、関節手術、不妊治療、糖尿病性足の検査が含まれます。但し、ウイルス感染拡大予防のため、保健省は遠隔診療を推奨しています。
インフルエンザワクチン接種、軍隊入隊前の健康診断も再開を許可されます。歯科治療(歯石取り、詰め物、義歯、矯正)も許可。
家庭とコミュニティ
世帯外の他人との接触は引き続き、制限されます。しかし、両親や祖父母の家を訪問することが許可されます。但し、訪問は1日1回に限定され、同一世帯から訪問する訪問者は2人までとします。また、両親や祖父母の家に子どもを預けることも可能で、同一世帯からの訪問者は1日2人までとなります。
また、出席者が10人以内なら結婚式を行うことができます。礼拝所は、個人的な礼拝は可能となり、同じ世帯のメンバーが一度に5人まで一緒に祈ることができます。家族が通夜や葬儀のために10人以内であれば集まることが可能となります。
コンドミニアム敷地内のプール、テニスコート、その他娯楽施設、並びに民間経営のジムは引き続き、再開されません。
ウオーキング、ジョギング、サイクリングをする際は自宅直近の施設(公園や公園連絡路)のみ利用が可能で、単独、または同一世帯に住む者と一緒に行うことが出来ます。しかし公園での集まり、食事、グループでの運動、凧揚げ、フリスビーなどの遊び、サッカーは禁止です。パート契約の清掃業者、メードに自宅を清掃してもらうことも、引き続きできません。
国民の海外渡航は引き続き、認められません。居住者および長期査証所持者がこの勧告を無視して海外に行き、帰国から14日以内にコロナウイルスの症状が出て感染の疑いで入院した場合、入院・治療費は当人の全額負担となります。しかし感染リスクがシンガポールと同程度か、シンガポールより低い数カ国とは入国手続きを迅速に行えるようにするための交渉が行われています。
2段階(フェーズ2)
フェーズ1からの移行は市中感染者が少なく、ドミトリーに住む外国人労働者の集団感染が落ち着いたことが条件となります。
少人数での社会活動が可能になります。飲食店の店内飲食、小売店の店頭販売、スポーツジムやフィットネスジムの営業再開などが認められます。但し、事業者や従業員が安全管理措置を厳守していることを条件に、段階的に再開を許可されることになります。
事業者は、在宅勤務が可能な従業員は、引き続き在宅勤務を継続させるようにしなければなりません。
3段階(フェーズ3)
状況をみながら緩和していきます。コロナウィルスへの治療法、もしくは有効なワクチンが開発されるまで継続します。
社会的、文化的、宗教的、ビジネスでの集まりはクラスターの発生を防ぐため、引き続き、人数制限の規制を敷きながら行われます。スパ、マッサージ、映画館、劇場、バー、ナイトクラブ等も、安全管理措置を厳守することを条件に再開されます。