2020年5月14日
1Q成長率0.7%に鈍化、新型コロナ影響
マレーシア中央銀行は5月13日、2020年第1四半期の国内総生産(GDP)成長率が0.7%だったと発表した。伸び率は前四半期の3.6%から大幅に鈍化。09年第3四半期以降で最低となった。国内では新型コロナウイルス流行とその対策である移動制限により経済活動が停滞。世界的に景気が冷え込んだ影響で輸出も低調だった。
成長率を支出別にみると、政府支出を除く全部門で前四半期を下回った。民間消費は6.7%で、前四半期の8.1%から伸びが鈍化。民間投資はマイナス2.3%で、前四半期のプラス4.3%からマイナスに転じた。公共部門では、政府支出が5.0%で、前四半期の1.3%を上回った。一方、公共投資はマイナス11.3%で、前四半期のマイナス8.0%から下げ幅が拡大した。輸出はマイナス7.1%、輸入はマイナス2.5%となっている。
成長率を産業別にみると、鉱業を除く全部門で前四半期を下回った。GDPの57.7%を占めるサービス業の成長率は3.1%で、前四半期の6.2%から減速。製造業の成長率は1.5%で、前四半期の3.0%から伸びが鈍化した。農業はマイナス8.7%、建設業はマイナス7.9%だった。鉱業はマイナス2.0%で前四半期のマイナス3.4%から下げ幅が縮小したが、マイナス成長が続いている。
成長率は季節調整済み前期比でマイナス2.0%だった。中銀は、20年1〜2月は経済が順調に拡大していたが、新型コロナ流行の影響で3月から景気が冷え込んだと説明。特に移動制限令が発動した3月18日以降の落ち込みが激しいとした。一方、政府による景気刺激策や中銀による金融緩和策は新型コロナによる経済的打撃を和らげていると説明。ただ第2四半期はマイナス成長が見込まれるとした。経済は20年後半から徐々に活発化し、21年はプラス成長になるとみている。
中銀はまた、第1四半期のインフレ率が0.9%と低調だったと説明。コモディティー価格の下落などが影響した。コアインフレは1.3%。中銀は、原油価格の下落で20年のインフレ率がマイナスになると予想している。