規制解除後の経済再開は段階的に実施、メーデーメッセージ

　リー・シェンロン首相は30日、国民に向けたメーデーメッセージで、新型ウイルスCovid-19の感染者数が減少すれば、感染拡大防止のための「サーキットブレーカー」を緩和することができるが、大規模感染の再発を防ぐため段階的に規制を解除すると表明。サーキットブレーカーの期間が終了すればすべてよくなるとの幻想を抱かないよう要請した。経済回復は長期にわたり、困難を伴うという。ウイルス禍で世界経済の構造も変化すると述べた。
 
　サーキットブレーカーは6月1日まで。経済再開では、国内経済の維持に不可欠で、外国とのつながりに必要な部門の活動再開をまず認め、娯楽施設、スポーツ大会など多数が集まる部門は再開を遅らせる。
 
　世界的に海外旅行はこの先も制約されるため、観光、航空部門の回復には時間がかかる見通しで、リー氏は深刻な影響を受けたフラッグキャリアーであるシンガポール航空（SIA）への支援を惜しまないと表明した。
 
　リー氏はまたCovid-19は経済構造上の変化をもたらすと指摘。一部の産業部門、職種は消滅し、企業はビジネスモデルの変更を余儀なくされるが、新たな機会も生じると述べた。消滅する産業部門の労働者は新技術の習得が必要になるという。
 
　現在生産高が増加している部門は、医療、バイオテクノロジー、食品生産。世界的にも各国は食品や医薬品の輸入依存を減らす方向に向かうという。