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経済

2020年3月31日

危機乗り切りのため賃金カットを、賃金審議会が指針発表

 政労使3者の代表で構成する全国賃金審議会(NWC)は30日、新たな賃金指針を発表した。新型コロナウイルス問題で企業活動が制限される中、多くの企業が経営危機に直面する見通しであることから早めの指針発表となった。適用期間は4月1日から来年6月まで。委員会は年内に再度会合を開き、抜本的な事項を協議する。
 
 NWCは、賃金カットが不可避であれば、基本給の構成要素のうち可変給与(MVC)のカットを勧告した。カット率は各企業の判断に委ねる。中小企業などMVC方式を採用していない企業には、基本給の10%かそれ以上のカットを経営陣に対し行うことを勧告した。
 
 景気低迷で余剰人員が発生する事態に対し、NWCは技術・技能向上のための訓練、フレックス勤務制の導入、収入減のため副業を必要とする社員への支援を勧告した。
 
 政府による支援措置だけでは危機を乗り切れない企業も出る見通しで、そうした、ウイルス禍の影響が大きい企業は、上級管理職、高給取りの賃金をより多くカットするのが望ましいという。シンガポール航空、ブレッドトークなど複数の企業がすでに賃金凍結や管理職の賃金引き下げに乗り出している。
 
 13カ月目の給与と呼称される所得税相当分の年末調整については、これまで通り支払うことが望ましいという。
 
 基本給が月1,400Sドル(約1万6千円)以下の低賃金社員に対しては、NWCは特別な配慮を要請。ほかの社員の賃金を下げる場合は現状を維持し、ほかの社員の賃金を維持する場合は最大50Sドル(約3,700円)のベースアップが望ましいとした。解雇はあらゆる手段を尽くした後の最後の手段とすべきとした。

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