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経済

2020年3月11日

先行き不透明なIPO市場、新型コロナウイルスが影響

 新規株式公開(IPO)市場の先行きが不透明だ。今年は昨年(11件)よりわずかに多いIPOが予定されているが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、すべてが実施されるかはわからない。
 
 IPOを実施する企業が望むような価格で株式を公開できる可能性が低いためで、2月に上場したエリート・コマーシャルREIT(不動産投資信託)の幹事行を務めたOCBC銀行によると、市況が不安定な今のような状況は公開価格決定には不適だという。
 
 プライスウォーターハウスクーパース(PwC)シンガポールのタム氏によれば、この先2カ月間に3~4件の上場が計画されており、準備もなされたが、上場に踏み切るかは値付け次第だという。低い公開価格を余儀なくされればIPOに乗り出す魅力は減るからだ。
 
 旅行規制も影響している。上場を予定している企業が外国企業の場合、幹事行の担当者による訪問が困難だ。投資家向け説明会の開催も容易ではない。
 
 しかしタム氏によれば、REITや事業信託は楽観的だ。現在のような状況では投資家は低リスクの姿勢をとるため、景気にあまり左右されなREITなどが好まれると見込んでいるからだ。
 
 今年は4銘柄が上場した。最大の資金調達となったのはエリート・コマーシャルREITで、1億3,090万ポンド(1ポンド=134.7円)。ほかの3件は750万Sドル(約5億円)以下だった。

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