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経済

2020年2月6日

中国鉄鋼業者の大型投資に反対、業界団体が声明

 中国の鉄鋼メーカー、河北新武安鋼鉄集団文安鋼鉄がサラワク州に大規模な製鉄所を建設する計画について、業界団体のマレーシア鉄鋼産業連盟(MISIF)とマレーシア鉄鋼協会(MSA)は2月4日、建設に反対する声明を共同で発表した。国内需要を上回る規模の生産が計画されていることから、国内の需給をさらに悪化させると指摘。事業免許を即時停止するよう当局に要請した。
 
 それによると、同社はサマラジュ工業団地での建設を計画。年産能力は1,000万トンとされ、2018年のマレーシア国内需要である977万トンを上回る。しかも、国内の鉄鋼生産能力は現状で2,464万トンに達し、すでに需要を大幅に超過している状態。設備稼働率は条鋼で14年に46%だったものが、18年は28%まで低下した。熱延鋼板は需要が168万トンで、すべて国内生産でまかなわれたとしても稼働率は28%にとどまる。
 
 両協会はさらに、8,000人の雇用が脅かされると主張。原料スクラップの供給不足が悪化することにも懸念を示した。18年のスクラップ国内供給量は296万トンで、不足分の56万トンは輸入でまかなったという。一方、国内生産されていない製品への投資は歓迎すると表明し、シームレス管や電磁鋼板などを例に挙げた。
 
 現地報道によると、文安鋼鉄は年内にも工場の建設を開始する計画。16年に同州政府と投資に関する覚書(MOU)を交わしており、その時点で30億米ドル(約3,289億円)を投じると表明していた。

(提供:亜州ビジネスASEAN
 

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