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2019年9月23日

三菱商事のシンガポール法人、中国籍の社員が規定違反の取引

 
 三菱商事の全額出資子会社、ペトロ・ダイヤモンド・シンガポールで中国籍の社員が社内規定に違反する取引を行い、巨額の損失を出した。三菱商事によると、損失は3億2,000万米ドル(約345億円)に上る見通しだ。
 
 この社員の名はワン・シンチェン(ジャック・ワン)。1月以降、中国の顧客向けの原油取引に関連したヘッジ取引を装ったデリバティブ取引を繰り返し、損失が社内で気づかれないようにしていたという。8月中旬から欠勤していたこの社員の担当していた取引を精査したところ、不正が分かった。
 
 同社はジャック・ワンを9月18日付で解雇し、19日に刑事告訴した。損失を出した取引は手じまいが済んでいるが、原油価格の下落で損失が発生した。この種の損失は三菱商事にとって初めての出来事。同社は8月、通期利益は6,000億円を見込んでいると発表していた。
 
 域内市場で長期にわたり活動してきたあるトレーダーはロイター通信の取材に対し、日本の商社では社内チェックが数段階あることを考えれば、今回のことは驚きだとコメントした。
 
 シンガポールを舞台にした不正取引では、女王陛下の金庫番と言われた英ベアリングス銀行のシンガポール法人で1995年末、当時社員のニック・リーソン氏が先物取引の失敗で14億米ドルの損害を会社に与えた事件がある。

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