2019年3月29日
今年の経済成長率4.3〜4.8%、中銀が予測
マレーシア中央銀行は27日、2019年の国内総生産(GDP)成長率が4.3〜4.8%となり、政府が19年度予算で想定した4.9%を下回る見通しを発表した。国内の消費や投資は堅調だが、世界経済の成長鈍化や長引く米中貿易摩擦、不透明なブレグジットの先行きなど主に外部要因が逆風になるとみている。インフレが抑制されている中、中銀は国内経済の成長を支えるため、金融緩和姿勢を維持する。
27日付のザ・サン・デイリーによれば、ノル・シャムシア・ユヌス総裁は現況について、国内消費が経済成長を下支えしていると説明。ただし19年の民間消費の伸び率は6.6%となり、12年以降で最高だった18年の8.1%よりは伸びが鈍化するとみている。
民間投資の伸び率は19年に4.9%となり、18年の4.5%から加速すると予想。とりわけ輸出企業が生産能力拡大や生産性向上に向けて設備投資を増やすとみている。一方、財政再建が進められる中、政府支出は前年比1.2%増の拡大にとどまり、公共投資は7.1%減少すると予測している。
ユヌス総裁は世界経済の動向について、成長ペースが鈍化するものの不景気(リセッション)に陥ることはないとの見方。こうした中、マレーシアの19年の輸出額は前年比3.4%増となり、18年の6.8%増から伸びが鈍化するとみている。また19年の経常収支はGDP比で1.5%の黒字になるものの、18年の2.5%からは縮小するとみている。
19年の消費者物価指数(CPI)については、0.7〜1.7%のプラスになると予測。年初から2カ月連続でマイナスとなり、デフレ懸念が高まっていることについては、需要減退で物価が低下した訳ではないと指摘した。比較対象となる前年の価格帯が高く、これに原油価格下落が重なったことが原因だが、半数以上の品目で物価は上昇しており、デフレ懸念はないとしている。
(提供:亜州ビジネスASEAN)