2018年5月10日
シンガポールの経済戦略、投資誘致から海外進出にシフト
政府は外国からの直接投資の誘致による経済発展から、企業心のある事業者の海外進出を重視する戦略に転換する。オン・イエクン教育相が5月9日、シンガポール国際商工会議所(SICC)の授賞式で表明した。
オン氏は「外国直接投資を誘致し、雇用を創出するのが、数十年にわたるシンガポール経済戦略の柱だった。成功を収めた戦略だが、従業員は勤勉で責任を持ち、企業はより良い業績を上げるため競走するとの思考が生じた」と前置き。
「優れた特質ではあるが、今や経済環境は変化し、ほかの能力が必要とされている」とし、技術革新と進取の気性を重視する方針を強調した。
具体的には、これまで以上の企業の海外進出を支援する。海外に業務展開するには勤勉だけでなく、起業家精神が必要で、リスク、失敗を恐れないことが重要だという。
同時に、競争ではなく協調、協力が必要で、大企業と中小企業、業界横断型、官民間の協力が例として挙げられるとした。
式典は企業間協調を表彰するもので、受賞者の1つは空港地上業務SATSと拡張現実技術の米EONリアルティーとの協力事業であるスマートグラス。手荷物や貨物コンテナを置く位置などの情報が書き込まれたマークを読み取る装置で、貨物処理の能率、正確さが向上するという。