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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2015年1月19日

不動産探しで注意したい、中華正月(春節)の影響

2015年の中華正月(春節)は、2月19日からです。筆者が赴任した1986年2月9日は偶然、春節の元日でほぼ100%の店舗やレストランが閉店でした。今は2日目から営業再開するところも多く「今は昔」の感がありますが、不動産探しには今でも影響が大きいのです。

オフィス賃貸

一番大きな影響を受けます。オフィスの内装工事(新装、原状復帰工事共)の職人はマレーシアや中国からの出稼ぎが多く、半月以上帰省で不在にするのが通例。さらに、中華正月前に引渡す案件に労力を集中するため、2月に新規案件を引き受けられる内装業者はほぼ皆無です。工事の許認可にも通常より時間を要しますので、この時期、オフィスの改装工事には、最低でも1ヵ月は余計にかかります。4月1日業務開始での新規進出のご相談をよく頂戴しますが、内装工事を伴う場合今からでは間に合いません。開始日が動かせない場合、当座はサービス・オフィスの活用を推奨します。

住宅賃貸

通常、2月末~4月末は日本人駐在員の住宅探しの「ラッシュ・アワー」。家賃も5~10%アップします。家主・家主側業者の活動が停滞する中華正月が今年は2月後半なので「ラッシュ・アワー」も早まり、1月末から始まると予想されます。

・契約の「更新」交渉は早めが有利

「ラッシュ・アワー」の対策は、時差通勤。すでに借りている住宅の契約満期がこの時期で、更新を希望する場合は、より早めの交渉開始が借り手に有利です。

 

・新規の家探しを有利に進めるには?→「即入居」が有利

家主にとって空室期間は損失で、一般的には待っても1ヵ月。ピーク時期は、2週間程度しか待ってくれない場合も多く、見込み客間で競り合いになった場合「即入居」に近いほど交渉が有利。ただ、中華正月前だけは例外で、家主も春節に枕を高くして寝たいため、1ヵ月半程度は待ってくれます。

 

・年度末帰国者物件は、入居可能時期に要注意

お子様のいるご家庭では終業式を終えての3月末帰国が多いですが、補修工事をして新規入居可能となるまでには、退去後最低半月を要します。家主の口車に乗せられ焦って入居すると、未修理の不具合だらけで後悔することもあります。

 

・「家具付き」より「家具なし」のほうが有利

日本人駐在員の場合「家具付き」賃貸が大半ですが、競合の場合、概して「家具なし」のほうが交渉上有利です。家具付きの場合、要望項目が多いほうが不利になるので、項目数を極力絞りましょう。

 

・小さいお子様やペットのいる見込み客を敬遠する家主も多い

新築の高額物件をローンで背伸びして買っている家主さんにその傾向が強いようです。特に壁紙や白系の大理石床は、退去時に高額の補修費用を請求されることも多く注意が必要です。家主が消極的な場合、避けたほうが無難です。

 

・不動産業者の資格・評判を事前に確認する

昨今の日系企業の進出ブームに乗じ、自称コンサルタントや、政府認定業者でも当地宅建資格を保有しない無資格外国人営業マンが多発しているようです。違法行為であり、消費者トラブルの元にもなりかねません。必ず宅建主任者証(Licensed Real Estate Salesperson)を確認しましょう。

 

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.273(2015年01月19日発行)」に掲載されたものです。

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