2015年3月16日
オフィス賃貸料も相場反転下落か?
オフィス賃貸料上昇率、アジア太平洋地域1位
シンガポールの2014年通年でのオフィス賃貸料上昇率は14.9%となり、アジア太平洋地域1位となった模様だ。ただし、主因は取壊し(再開発)案件の増加による「供給不安」であり、需要増によるものではない。
オフィス賃貸も今年後半には下げに転じそう
大型物件の第4四半期竣工もあり、空室率は反転上昇、10%台に乗せた。総需要は、概して低迷気味で、特に、大口需要家である欧米の金融機関のリストラ計画発表も相次ぎ、2015~2016年半ばの新規竣工物件が少ないにもかかわらず、相場上昇の息切れ感が出て来た。このまま需要低迷が続くと、2010年以来上昇してきたオフィス相場も、今年の半ばには下げに転じそうだ。なお、地域別では、オーチャード地区の家主は、希望賃料を引き下げ始めている。
在留邦人数も頭打ち?
増加の一途をたどってきたASEAN地域在留邦人数にも、40%近い円レート下落や、世界経済の不透明性などからか、頭打ち傾向が見える。シンガポールでも、化学、電子、小売で大型の撤退発表が相次いでいる。かたや、新規進出事案は概して規模が小さく、在留邦人総数の縮小もないとは言えない。
住宅賃貸相場は、年央以降大幅下落か?
2014年末の民間住宅総戸数31万戸に対し、本年以降は大量竣工が見込まれている。実需増は、シンガポール国民・永住権者の自己居住を中心にせいぜい年1万戸程度と推測される。そのため、空室率の増加とともに、特に賃貸不需要期の年後半には、賃貸相場の大幅下落も予想される。
文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.276(2015年03月16日発行)」に掲載されたものです。