シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP今年の賃貸相場:ホントに「天井打ち」→「下げ」へ?

シンガポール不動産「耳寄り情報」

2013年2月4日

今年の賃貸相場:ホントに「天井打ち」→「下げ」へ?

1.春の異動時期が季節的ピーク

毎年2~4月は、1年間で最も大きな異動時期であり、家探しのラッシュアワーでもあります。経済変動による相場の上げ下げとは別に、季節要因として、この時期は年間でも一番家賃が高くなるのでご注意を。特にスクールバス・ルート沿いの限られた物件を新規赴任者が競って探すのに対して、3月末で帰国予定の駐在員の物件は4月半ばにしか市場に出てこないことも多く、このタイミングのズレもタイト感を強くしています。

2.現在までの相場推移

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政府(URA、HDB)が発表している公式統計は上のグラフの通りです。一番上のピンクの折れ線グラフは、民間住宅の売買価格指数。2番目の青色のグラフはHDB転売価格指数。3番目の赤のグラフが民間住宅賃貸料指数。2012年第4四半期は、速報によれば民間住宅売買価格は前四半期比更に1.8%上昇しました。政府は年明け1月11日に強力な追加不動産価格抑制策を発表し、翌日から即実施しました。

3.賃貸は実需相場

投機需要が大きな要因である売買とは異なり、賃貸は実需相場。今までの賃貸相場を押し上げてきたのは、外国人駐在員の急増が主因。しかし昨年初から、欧州の経済危機の影響に加えて、政府が労働ビザの発給に急ブレーキをかけた影響がジワジワ出てきています。

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4.賃料S$7,000台以下の物件は依然タイト

今後の賃貸相場には、駐在員総数の動向と、同様にその住宅予算が、大きな影響力を持っています。欧米人が主体のS$8,000台以上の賃貸需給が軟化しているのとは対照的に、S$7,000台以下の物件は、予算を切り下げた欧米人の増加やアジア新興国からの駐在員の急増にともない依然タイト。特にこれから4月末までの異動のピークシーズンに、家賃が下がることは望み薄と思われます。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.228(2013年02月04日発行)」に掲載されたものです。

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