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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2013年12月16日

住宅退去時の諸手続き(2)

住宅の賃貸契約の大半は2年契約です。当地では、「いずれかから解約の申し出がない場合には、自動更新」というのは、まずありません。

 

1.家主への通知

個別の契約内容によっても異なりますが、大半の賃貸契約では、そのまま放置しておけば、契約は満期で終了となります。

例えば、2011年1月1日からの2年契約であれば、2013年12月31日で契約満期となるため、それ以前に明渡し・退去する必要があります。満期退去の場合、通常は契約上、借り手が家主にその意志を通知する義務はありませんが、結果的に家主が後釜の借り手を探しそびれて機会損失を被り、その腹いせに退去時検査でイジメられるのも得策ではありません。また、家主によっては「シンガポールでは、退去の際も2ヵ月前の通知が慣習上、借り手の義務だ」と頑張る人も居ますので、退去することが決まっているのであれば、書留郵便で正式通知をしておいたほうが、無用なトラブルを避けられます。

 

2.契約更新の交渉をする

大半の契約では、借り手が更新を希望する場合には、満期の2ヵ月前までの意思表示が条件となっています。2ヵ月を割り込んでの通知の場合、更新できないわけではありませんが、家主に更新交渉に応じる義務はありません。

賃貸料、家具の更新、転勤解約条項再設定等、更新諸条件について双方合意できれば、契約書を再作成し、印紙税を納付します。賃貸料に変更がある場合は敷金の調整が必要です。どのように調整するかは家主との相談になります。

仲介手数料は、新規契約の場合に準じます。賃料S$4,000以上、期間2年であれば、仲介手数料は家主のみ負担ですが、S$3,999以下ないし2年未満の場合は、借り手側に手数料負担が生じます。家主への「礼金」はありません。

 

3.満期で退去しないと

日本とは異なり、借り手に「居座る」権利はありません。不法占拠となり、損害賠償責務を負うことになります。

 

4.住み替える

諸事情で住み替える場合、2ヵ月以上前に、転居先を確保するのはなかなか困難です。せいぜい1ヵ月半前頃から探しだして、調度良いタイミングで入居できる物件が見つかることが多いようです。つまり、現住居を更新する申し出の「満期2ヵ月前の期限」には間に合いません。「良い住み替え先が見つからなかったら更新しよう」という選択肢には、「今の住居の更新ができなくなるリスク」も若干ありますので、ご注意下さい。また、住み替えによる「島内引越」は、海外引越のピークと重なると、引越業者に敬遠されることもあるようなので、早めの予約が安心です。

 

5.期間を若干延長したい

任期の関係などで、数ヵ月だけ延長したい場合も、家主が自動的に延長に応じる義務は無いため、延長交渉が必要です。短期延長は受けない家主もいます。その場合、特に数ヵ月借りられるような一般住宅はまずあり得ないため、短期用のサービスアパートが選択肢となりますが、賃貸料は比較的高額です。一般住宅の期間延長の場合、たとえ短期延長でも印紙税がかかります。

 

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.248(2013年12月16日発行)」に掲載されたものです。

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