2014年5月19日
今年後半の不動産相場、住宅は売買・賃貸ともに「下げ」、オフィスは「上げ」基調
現在までの住宅賃貸相場推移
シンガポール政府が導入した外国人受け入れの制限諸策と不動産価格抑制諸策が奏功し、住宅価格・賃貸共に「下げ」基調が定着しつつあります(グラフ上)。
特に当地欧米企業が、駐在員や外国人従業員を抑制ないし削減する傾向にあり、かたや、民間住宅の新規供給は着実に増加(グラフ下)している為、「賃貸」相場も軟調に転じつつあります。ちなみに、2014年第1四半期末現在、民間住宅総戸数は29万8,000戸で、そのうちコンドミニアムとアパートは22万2,000戸です。
現在までのオフィス賃貸相場推移
下段左のグラフは青が中心部のオフィス賃貸料、赤は郊外のオフィス賃貸料、黄は空室率です。住宅とは異なり、オフィス賃貸料指数は2013年第2四半期から上昇に転じています。
2013年のオフィス・スペース純増が少なく、2014年も年末竣工・来年以降の入居となる物件の割合が大きく、更に2015年竣工物件が極端に少ない状況です(グラフ上)。再開発で安価な物件が取り壊されるケースも多く、2014年通年では、オフィス賃料は、10~20%程度上昇すると見込まれています。
文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.257(2014年05月19日発行)」に掲載されたものです。