『成功した起業家が毎日考えていること』レオナルド・ローディッシュ著・笠原英一訳

「起業」への関心が高まっているせいか、関連書籍の出版が顕著である。例えば、「成功の法則などない、あるのは成功の実例だけだ」、と様々な成功例を紹介している「101人の起業物語」（光文社）。「アジアで起業！読本」（情報センター出版局）では、アジアでの起業ノウハウや実用的な情報を掲載すると共に、アジア各地で活躍する日本人起業家たちの様子を生き生きと伝えている。他方、成功者が1,500人に1人という厳しい日本の現実を突きつける「起業バカ」（光文社）は著者自身の実体験と丹念な取材に基づいた冷静な筆致が特徴である。

さて、今回紹介する書籍はペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授である著者の「Entrepreneurial Marketing」の一部邦訳である。マーケティング理論をベースにしつつ創意工夫して成功した起業家たちの実例がふんだんに盛り込まれている。そして、会社創設以来、起業家が直面するさまざまな局面において、「起業に成功した彼らは、どのように考え、どのように行動したか」について生き生きと書かれている。利用できる経営資源が限られている起業家たちにとってマーケット理論をベースにどのように考えたらよいのか、そうした問いに答えてくれる有益な1冊である。

中経出版