シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2007年6月4日

『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝

photo-6まず最初に言っておきますが、恐らく読んでも「爆笑」はしません。タイトルこそ『裁判官の爆笑お言葉集』ですが、実は結構マジメ。

見開き右ページに裁判官の言葉と簡略な事件の概要、左ページに著者の裁判についての感想を記載という構成。裁判官の犯人に対する犯罪に対する怒りと更生の願いが伝わる記述に徹しているのがわかる。著者は以前、司法の道に進もうとしていただけあり、裁判官へ向ける目は温かい。「爆笑」とタイトルを付けるよりむしろ『裁判官の感動お言葉集』と付けた方が本書の内容に符合すると思う。出版社に押し付けられたのかなと邪推してしまったりして。

また上記のような構成のため、事件によっては語り足りない場合も。読みやすさを考えると仕方ないのかもしれないが、オウム裁判など有名な事件の裁判についてはもう少しページを割いても良かったではと思う。

とはいえ2009年の裁判員制度開始を控え、裁判に興味を持たせるにはうってつけの本書、一度手にとってみてはどうだろうか。なお野次馬根性的に読む裁判物ならば『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(北尾トロ、文春文庫)の方が目的に沿うかも。両方読み比べてみては?

 

幻冬舎新書

協力=シンガポール紀伊國屋書店

 文=シンガポール本店 古矢

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.099(2007年06月04日発行)」に掲載されたものです。

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