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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2007年10月15日

『カラフル』森絵都

photo-7著者の森絵都さんは、『風に舞い上がるビニールシート』で直木賞を受賞しています。また、『リズム』や『Dive!』など、児童文学の名作を多く残しています。

『カラフル』の主人公は「ぼく」。生前にある罪を犯して死んだ「ぼく」の魂が、自殺(未遂)した中学生の体に乗り移り修行を積む。ふとしたことから再挑戦のチャンスを得た「ぼく」は、新たな生活の中で、友達も出来て、家族の意外な面も見えてきて、その過程で成長していく。ある時、「ぼく」は乗り移った中学生の少年が、自殺によって大切な何かを失ってしまった事に気が付く。

小説の設定は奇抜で、テーマも実は重たいです。ただ、それをコミカルに、楽しくかつ優しく読み進めていけるのは、作者の筆力と思います。テンポ良く物語が進むため、一気読みは確実です。読み終わった時、『カラフル』という書名の意味が良く分かります。

ジャンルとしては児童文学なので、もちろんお子様にお勧めしたい文庫ですが、全ての世代の方が満足できる内容と思います。例えば、自分で先に読まれて、その後にお子様にプレゼントをするというのも、たまには良いのではないでしょうか。

 

文藝春秋

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.108(2007年10月15日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家

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