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2008年4月7日

『火車』宮部みゆき

photo-16最近、今年1月の個人又は企業によるシンガポール国内の破産申請は292件に上り、昨年の1ヶ月平均申請件数268件を上回ったという記事を読んだ。そこで思い出したのが、つい数年前まで日本で自己破産件数が増加傾向にあり、2002年から2004年の3年間、年間自己破産者は20万件を超えていたこと(幸いなことに2005年以降は減少)。

多重債務が問題視され、自己破産が話題になり始めたのが、まだ私が学生だった1990年代初頭のバブル崩壊と同時期だったように思う。その時に上梓されたのが本書。

一人の女性が婚約者の前から忽然と消えたのが物語の始まり。徹底的に過去を消し去っていた彼女を追い続けて見えてきたのは、全く別の女性。彼女になりすましていた女性の存在が明らかになってくる。

個人破産という逃げ道を知らず、夜逃げ同然に債権者から逃亡した両親を持つ娘。結局、両親は債権者に連れ去られ一家離散。娘は他人になって自由の身になることを決意し、実行に移したが、なりすました女性も過去に自己破産していたことを知る。

古さを感じさせる点もあるが、10年ぶりに読み直してみても色褪せていなかった。

 

新潮社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.119(2008年04月07日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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