シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『経済は感情で動く』マッテオ・モッテルリ-

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2008年8月4日

『経済は感情で動く』マッテオ・モッテルリ-

photo-8言われるまでもないのだが、人間は不合理である。客観的であるべき数字ですらも、感情によって色づけられてしまう。そんな例や小さな実験が満載されている。

例えば、以下のようなケースが挙げられている。

(A)会社は田中さんに、4%のインフレのなかで給料を2%上げることを提案した

(B)会社は鈴木さんに、0%のインフレのなかで給料を2%下げることを提案した

よく考えると名目上の賃金は同じ筈なのに、通常は田中さんの方が満足度は高い。感覚的には理解できるが、何故そうなるかを説明するには、人間の持つ損失回避性を考慮する必要がある。つまり、「人間は同額の利益から得る満足より、損失からうける苦痛のほうがはるかに大きい」という点が重要となってくる。これはノーベル経済学賞受賞者、カーネマンが実証したことだが、自分自身のことを考えてみた場合、まさにその通りだと思う。

本書には、このような小さな実験や具体的なケース、問題やパズルが満載されている。何かモノやサービスを購入する時や投資で大きな失敗を犯さないためにも、本書に一度は目を通すことをお奨めしたい。

 

紀伊國屋書店

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.127(2008年08月04日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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