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2009年10月19日

『白い紙/サラム』シリン・ネザマフィ

photo-20イラン・イラク戦争下、イランの小さな町での物語。

戦争医師の父が最前線に近い町の大きな病院に勤務することになったため、その娘もテヘランからこの小さな町に移り住むことになった。娘は近くの高校に通い、ハサンという同級生に淡い恋心を抱くようになる。

高校生の男女が言葉を交わすことすら禁忌とされる国では、ただ逢って少し会話をするだけでも、多くの障害を乗り越えなくてはいけない。二人の通う高校の教師は言う。「君たちの今は、白紙のように真っ白だ。その紙に、いろんなことを書いて、いろんな色を塗って、いろんな絵を描いていくことができる。」しかし、戦争が若者たちの将来に暗い影を落とし、現実はそれほど単純ではないことにハサンは気付く。

テヘラン出身・大阪在住のシリン・ネザマフィによる日本語で書かれた作品。一人称を全く用いないで描いているのが斬新。

もう一篇の「サラム」は日本を舞台とした物語。冷たい現実を思い知らされた。

 

文藝春秋

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.155(2009年10月19日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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