2009年10月5日
『ビール・イノベーション』橋本直樹
大のビール好きという訳ではないが、やはり飲み始めは「とりあえず、ビールで」となる。いつから美味いと思い始めたか定かではないが、乾いた喉にあの琥珀色のシュワシュワとしたほろ苦い液体を流し込むと「美味いなぁ……」としみじみ、時には猛烈に思う。そんなビールの過去・現在・未来を描いたのが本書である。
実は何気なく手に取ってみたのだが予想以上に面白い。タイトルからして現在のビール戦争等と呼ばれるビール業界の実態を描いたものかと思いきや、人間が古代から今に至るまでビールをいかに飲んできたか、作ってきたかというエピソードが豊富に描かれており非常に興味深く一気に読んでしまった。残念ながら我らがタイガービールについては言及されていなかったが、今夜も5千年のビールの歴史に想いを馳せながら「とりあえず、ビールで」と喉を潤したいものである。
朝日新書
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.154(2009年10月05日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 里見