2009年11月2日
『夫婦で行くイスラムの国々』清水義範
作家、清水義範が実際に夫婦で訪れた国々について書いた旅行記。1996年、雑誌の企画でたまたま夫婦そろってトルコに行くことになった著者。そこで見たイスタンブールの建造物、アヤ・ソフィアがきっかけとなり、イスラム文化に興味を持ったとのこと。
それからは、年に一回ほどのペースで、暇を見つけてはイスラム各国を訪れる旅に出る。ウズベキスタン、イラン、チェニジア、モロッコ、エジプトなどを順に巡っていき、最後は、「かつてイスラム文化圏だったという」スペイン、コルドバのメスキータを見学する。
各地のイスラム文化、歴史背景が分かりやすく解説されていて、勉強になる。また、著者の小説にあるようなユーモアを織り交ぜながら旅が進んでいくため、非常に読みやすい。小コラムでは、飲料水や飲酒、トイレなどといった、旅の気になる情報もまとめられている。
東南アジアの国々は出てこないものの、イスラム文化圏に興味がある方にとっては、入門書としてもおすすめの一冊である。
集英社
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.156(2009年11月02日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家