2009年11月16日
『沈まぬ太陽』山崎豊子
「濃厚なブルーの空に、雪山のような雲が動き、果てしない草原に、灼けつく太陽の陽炎が波打っている。視界を遮る何ものもない……」
日本を代表する企業、国民航空の社員、恩地元。エリートとして将来を嘱望されながらも、労働組合の委員長を引き受けたが為に人事的な差別を受け、中近東、アフリカへと10年に及ぶ「流刑」に耐える日々を送る……。
全五巻である本作品は、アフリカ編、御巣鷹山編、会長室篇とその舞台を移しながら、会社の不条理に不屈の闘いを挑んだ恩地元という人間の生き方を山崎豊子の確かな筆力で描き切った壮大なドラマ。
日本では現在、渡辺謙主演の映画が大ヒット上映中。ずしんと心に残る本作品、まだ読んでいない方は是非読んでみては如何でしょうか。
新潮社
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.157(2009年11月16日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 里見