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2009年12月7日

『異端の数ゼロ』チャ-ルズ・サイフェ

photo-17ゼロという概念がインドで生まれたことは有名である。

その概念が誕生する遥か以前、エジプトではピラミッドが建設され、ギリシアではピュタゴラスが様々な数学の定理を見つけだしていたが、誰もその概念に気付かなかった。何故であろうか?

普通に日常生活を営む上ではゼロの活躍の場は少ない。ゼロ人の子供がいる、苺をゼロ個買った、私の貯金はゼロ円だ、と表現する人はいない。エジプトでゼロが見いだされなかった理由はここにある。彼の地で幾何学が生まれたが、日常生活で必要な範囲でしか活用されなかった。

エジプトで生まれた幾何学は、ギリシアで花開く。エジプト人と違って、ギリシア人は抽象的な概念も受け入れることができ、数学は高度に発展した。ただそこでもまだゼロは生まれない。結局、その後ゼロはインドで生まれ、アラブ世界を通じて西洋世界にも広がっていく。興味深いのは、ルネサンス以前に立体的な絵画がなかったのは、ゼロの概念がなかったためだという点。遠近法で用いられる消失点は、ゼロを知ることによって生まれたのだ。

 

早川書房

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.158(2009年12月07日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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