『代替医療のトリック』サイモン・シン＆エツァート・エルンスト

プラセボ（placebo）効果をご存知だろうか。治療や薬が効くと信じていれば、ある程度の効用が見ることができるという効果である。最近では、抗鬱剤について、偽薬を処方した場合でも効果は変わらないという研究がある。

古くから「病は気から」と言われており、実際に効果があるかに関わらず、それで救われる人がいれば真実はどうでも良いのではと思っていたが、本書を読んで考えが変わった。

日本では鍼灸やカイロプラクティックが至る所にあり、シンガポールでは比較的お手軽な価格でフット・リフレクソロジーが楽しめる。磁気療法やハーブ療法などもよく耳にする。医療機関で受ける通常医療に対して、これらは代替医療と呼ばれているが、代替医療を過信して通常医療に頼りたくないという人には、ぜひ本書を読んでもらいたい。

多くの代替医療で健康を害することは少ないが、効果は限られている。少なくともそれぐらいは知っておくべきだと感じる。それにしても、足の裏の特定の場所と内臓をつなぐ反射経路が存在しないのは残念。

新潮社／ISBN：9784105393052