2014年1月20日
『マリアビートル』伊坂幸太郎
この作家の本はしばらく読んでいないけど、初めのころの面白さはまだあるのだろうか。あの作品の続編だし、週末に読んでみるかと、手に取ったこの作品。この作家とは伊坂幸太郎、あの作品とは「グラスホッパー」です。
犯罪者たちが東北新幹線「はやて」「こまち」に乗り合わせて、東京から盛岡まで2時間半、思惑はからまりあい、狙う者、狙われる者の攻防が繰り広げられます。気の利いたセリフや、分かりやすいキャラクター造形の他に、人としてどうあるべきかを簡単な文章に載せて伝える真摯さに、以前と変わらずしびれました。
手に取った時の疑問は数ページで吹き飛び、週末どころか金曜日の深夜には読了してしまいました。早く先を読みたいけれど、きちんと読まないと話に置いていかれてしまう。はやる気持ちのコントロールの難しさ。本屋の私が言うのはひいきになってしまうかもしれませんが、やっぱり本って面白いです。
角川書店/ISBN:9784041009772
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.250(2014年01月20日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 河合