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シンガポール移住体験談

2021年4月8日

シンガポール移住体験談② 〜日系企業駐在員のBさん〜

 アジア屈指のビジネスハブであるシンガポール。人と情報が集まるこの地には、多くの邦人がビジネス目的で移住してきています。
 
 ビジネスに教育に、多くの人が移住を考えているシンガポールではありますが、住んでみないと本当の姿は見えてこないもの。そこでAsiaXでは、シンガポールに移住した方々に、移住のきっかけやシンガポールでの暮らしぶりをインタビュー。第2弾の今回は、日系企業の駐在員として働くBさんの体験談をお届けします。ローカルスタッフとの関わり方など、駐在員ならではの体験を語っていただきました。またBさんは、新型コロナウイルス影響下でのシンガポール移住経験者。これからシンガポールへの駐在を控えている方は必見です。
 

Bさんの基本データ

職業:日本企業駐在員
同居する家族:妻、子ども2人
シンガポール移住時期:2020年6月下旬
移住前の英語レベル:業務には支障がないレベル
 

お仕事について教えてください。

 駐在員です。赴任辞令がきっかけで、シンガポールに移住しました。シンガポールの現地法人及びアジア域の現地法人の管理業務に従事しています。赴任期間は具体的には決まっていませんが、3〜5年くらいが多いようです。
 

ビザの種類は?

 ビザはEP(就労ビザ:マネジメントレベルや専門性が高いポジション向け)で、入国したのは2020年6月下旬ですね。シンガポールが新型コロナウイルス対策のフェーズ2に移行した直後での渡星となりました。
 

移住にあたって苦労したことは?

 新型コロナウイルスの影響もあり、「いつビザが出るのか?」が読めないことで苦労しました。ビザが出ても、入国許可が下りる時期が分からなかったので、東京からいつシンガポールに赴任できるのかを計画するのが難しかったです。実際にビザ申請が通ってから来星までは3週間くらいでした。
 
 住まい探しはあまり参考にならないかもしれません。勤務先の前任者の物件の契約が残っていたので、そこに入居しました。
 

移住前のイメージと、実際に住んでみてからのギャップは?

 過去に出張などでシンガポールを訪れていたので、あまり大きなギャップはありませんでした。ただ、厳しい規制や、ルールを守る社会である一方で、本音と建前をうまく使い分けているなと思うところはありますね。
 
 また、住宅の見た目は綺麗でかっこよくても、実際に住んでみると、設備の品質や細かい点に「あれ?」と思うことや、トラブルが多いなと感じます。実体験としては、先日エアコンが壊れたのですが、ちょうど旧正月の前だったこともあり、家主に連絡してから修理完了までに3週間くらいかかりました。
 

シンガポールに住むメリットは?

 コロナ禍の中でも安心・安全に暮らせるというのは、最大のメリットだと思います。規制は厳しいですが、シンガポール政府のコロナ対応は、国民からの高い信頼を集めていると思います。政府がクリアなメッセージを発信しており、ここは日本人として学ぶところではないかと感じています。
 
 また、日本のサービスやお店などがたくさんありますので、アジアのハブ拠点ゆえの便利さと、日本の暮らしの便利さの両方を体験できると思います。
 

シンガポールに住むデメリットは?

 シンガポールというよりは新型コロナウイルスの影響ですが、日本に住む友人や親戚、家族に気軽に会うことは出来ないですね。また、日本食・アルコール類の価格は高いと思います。
 

英語のレベルはどのくらいですか?

 業務には差し支えないレベルでした。生活に必要な部分は、こちらにきてから学びました。シングリッシュ(シンガポールにて話されている強い訛のある英語)には戸惑いましたが、今では「◯◯をできますか?」を”CAN”の一言で済ましてしまうなど、私もそれに染まりつつあるのかなと思います。
 
 ローカルスタッフとのやりとりでは、語学力の問題や文化の違いもあるので、「伝えたつもりで伝わっていなかった」ということがないように気をつけています。チャットなどで齟齬がないよう確認しています。特に数字を間違えると大変ですので。また、スタッフもコミュニケーションに気を遣ってくれていると感じています。
 

シンガポールでの子育てはどうですか?

 2人いる子どものうち、1人は日系の幼稚園に通っています。日系の幼稚園は、英語教育はありますが、施設やカリキュラムという意味では日本との差は小さいですね。
 
 日本とのカルチャーギャップとしては、シンガポール人は圧倒的に子ども・子連れに優しいと感じます。例えば、子どもと一緒にバスやMRTに乗車していると、かならず席を譲ってもらえるんです。混んでいるバスなどでは、複数の方々が同時に「ここに座って」と声をかけてくれるくらいです。老若男女、民族を超えて、それがシンガポールの常識であると知りました。日本人が見習う部分だと思います。
 
 子どもが通う幼稚園選びでは、選択肢が多すぎることに困りました。日系・インター系・ローカル系とあるのですが、まずは「日本語教育があり、日本人の先生がいるところ」を必須条件として、最終的には「近さ」で選びました。何かあった時に走って駆けつけられる距離が良いとの判断です。
 

日本人と会う機会はありますか?

 街で見かけることは多いです。同じコンドミニアムにも複数の日本人家族が居住していますし、飲食店やショッピングモールなどでも見かけます。もちろん、エリアや時間帯によりますが。
 

シンガポールのお気に入り料理は?

 バクテーとプラウンヌードルですね。苦手なものは特にないですが、まだトライしていない、というのはあるかもしれません。
 

カルチャーショックを受けた出来事はありますか?

 生活に身近に関わる日本製品や、日本の小売業、サービスが想像以上にシンガポールに浸透していたことですね。日本からシンガポールに移住した身としてはありがたいです。また、それがローカルの人に受け入れられていることが、日本人として嬉しいですね。
 
 あとは、小売店の店員さんがスマホをいじっている光景をよく見かけます。一方で、日本とは異なるフレンドリーな接客・サービスを受けられることもあります。シンガポールの知人に「シンガポールにはおもてなしはない。でも思いやりはある」と言われ、一理あるなと思いました。
 

日本の方がよかったと感じることは?

 旬の野菜・果物、魚などを気軽に食べられるという点、食の分野での繊細さに関しては日本のほうがよいと思います。
 

永住権を所得する計画・希望は?

 駐在の形で来星しているので、現時点ではありません。ただ、シンガポールの経済状況や政策が変わって、取得のハードルが下がるようなら考え直すかもしれません。
 

新型コロナウイルスによる影響はありましたか?

 単身でシンガポールに赴任した時と、家族を連れてくるために再入国した際の2回、SHNを経験しています。子ども2人を含めた家族でのステイホームは、政府指定ホテルでの隔離でした。窓の開かないホテルの部屋で、2週間缶詰となり、ドアを開けるのは食事やデリバリーを受け取る時か、ゴミを捨てる時くらいの日々でした。妻が本当に大変だったと思います。また子どもも、窓の外に見える滑り台やプールに「行けない」ことはストレスだったと思います。1日1回かそれ以上、携帯やホテルに電話連絡が来ましたし、廊下はカメラでモニターされていて、徹底的な管理下でした。
 

移住希望の方へメッセージ

 コロナ禍を受けて以前と状況が一変し、シンガポールでの就労や移住のハードルは上がっていると思います。一方で、アジアのハブとして、さまざまな文化が融合するシンガポールの魅力は引き続き変わりません。移住希望の方はその思いを実現して、シンガポール生活を楽しんで下さい。
 

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