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シンガポール移住体験談

2021年4月5日

シンガポール移住体験談① 〜駐在妻・DPパスのAさん〜

 アジア屈指のビジネスハブであるシンガポール。人と情報が集まるこの地には、多くの邦人がビジネス目的で移住してきています。また、国際教育到達度評価学会(IEA)が実施する「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の上位常連であるシンガポールの教育は「世界一」と言われることも多く、教育移住の選択肢の一つとしても注目されています。
 
 ビジネスに教育に、多くの人が移住を考えているシンガポールではありますが、住んでみないと本当の姿は見えてこないもの。そこでAsiaXでは、シンガポールに移住した方々に、移住のきっかけやシンガポールでの暮らしぶりをインタビュー。今回は、夫の転勤でシンガポールに移住し、子育てにも奮闘中のAさんの体験談をお届けします。
 

Aさんの基本データ

職業:専業主婦 
同居する家族:夫・子ども2人 
シンガポール移住時期:2019年9月末 
移住前の英語レベル:苦手
 

移住のきっかけは?

 夫の転勤がきっかけです。2019年の8月に夫が先に渡星して、私と子どもたちは9月末くらいに渡星しました。時期的には新型コロナウイルスの少し前にあたりますね。
 

ビザの種類は?

 ビザの種類はDP(扶養パス)で、申請自体はスムーズでした。シンガポール移住までの準備期間は2ヵ月くらいで、国内の引越しとは違って、銀行口座などの手続き、荷物の振り分け(シンガポールに送るもの・倉庫に保管するのも・捨てるものなど)などバタバタでした。
 

移住にあたって苦労したことは?

 住む家を決めるのに苦労しました。夫が仕事の合間を縫って内見をして決めてくれたのですが、そのころ私は日本にいましたから、写真や動画と夫の話だけで判断するしかなく、土地勘もないので大変でした。
 
 実際にシンガポールに移住してから、「こうすればがよかった」と思うことはあります。子どもが2人いるので、広さと新しさで選んだのですが、住んでみると、広さと新しさも大事だけど、子どもの幼稚園関係とかシティ(中心街)からの近さなども重要だったかなと思います。
 
 新築物件だったので、トラブルも多かったです。2、3年経った物件のほうがいいとは聞いていたのですが。最初の数カ月はかなり頻繁に、何かしらの修理が必要でした。子ども2人はシンガポールに来たばかりで慣れていないし、幼稚園にも通っていない状況でしたので、毎日見知らぬ業者が入るのはかなりのストレスでした。作業後は必ず部屋が汚れるので、そのあとの片付けや掃除も大変でした。
 

移住前のイメージと、実際に住んでみてからのギャップは?

 シンガポールに移住した皆さんが感じると思うのですが、街がきれいと聞いていたのにたくさんゴミが落ちています。観光地などはきれいなのですが、普通の道はごみが目立ちますね。それとシティや観光地と郊外との差がすごくあります。シンガポールって発展しているイメージがありますよね。もちろんそういう場所もありますが、「まだまだこれから」という所もたくさんあると感じます。
 

シンガポールに住むメリットは?

 東京では住めないような広さや設備のコンドミニアムに住めています。新型コロナウイルスのサーキットブレーカー中は子どもたちを一切外に出さなかったのですが、家の中で遊び回れるこの広さだからこそ乗り越えられたのかなと思います。コンドミニアムには、プールやジム、バーベキューピットなどがあり施設が充実しています。特にプールがあるので、子どもたちが水に慣れるのが早かったです。そして、こちらに住んでいると生活しているだけで英語が学べます。いろんな人種、文化、食べ物が周りに常にあるところもメリットだと思います。
 

シンガポールに住むデメリットは?

 日本の物も手に入るのですが、とても高い。そして医療費ですね。会社がある程度負担してくれてはいますが、東京では子どもの医療費はまったくかかりませんでしたから。また、日系の病院は数や場所も限られるので、病気ですぐに行きたいのにちょっと離れた病院にタクシーやバスを使って行かないといけないのも大変です。私は英語が苦手なので、買い物をするのにも初めのうちはすごく時間がかかることもありました。すべてのものが英語や中国語で書かれているからです。「これはなにかな?」と。ちょっと買い物に、と思っても時間がかかっていました。
 

英語のレベルはどのくらいですか?

 苦手だと思っています。シンガポールだから生活できているのかなと。基本みなさんやさしくて、英語があまり話せなくても、必要最低限の単語で通じます。シンガポーリアンの方たちも私たちが外国人であることに配慮して、単語だけで会話してくれることも多いので、単語のやり取りで買い物や食事もできます。これがアメリカなどだったらもっと生活しにくかったのかなと思います。日本にいて日本語だけで生活しているよりは、英語力が上がっているとは思いますが、それほどの実感はないです。

 

シンガポールでの子育てはどうですか?

 みなさんフレンドリーなので、面識のないうちの子にもたくさん話しかけてくれます。子どもたちも日本語が通じない人にもどんどんコミュニケーションを取りにいくので、とってもいい経験になっているなと思います。あとは、一年を通して温暖な気候なので助かっています。子どもが小さいときは、冬の服の着せ替え、長袖を何枚も脱がせて、着せての作業はとても大変ですが、タンクトップ一枚でいいので子育てには大きなメリットです。また寒い中、子どもたちをお風呂に入れるととてもバタバタになるのですが、年中暖かいと裸で走り回ろうが気にしなくていいので楽です。
 
 子どもたち2人とも幼稚園に通っています。今の幼稚園は夫と話し合って、「日系」を最初の条件として探しました。日本の文化や日本らしさが学べ、加えて生活の中で英語や異文化も取り入れられる環境であること。先生方の雰囲気の良さも考えて、今の幼稚園に決めました。日本へ帰ってからもそのまま生活に溶け込める、そんな日系の幼稚園を選びました。日本にある幼稚園により近い雰囲気の園も住居の近くにあったのですが、せっかく海外にいるのでいろんな経験をさせたいなと思って選びました。ただ、幼稚園には満足しているのですが、バスで40分くらいの距離で遠いので、行き帰りが少し子供たちの負担になっているかなとは思っています。スクールバスなのでコンドミニアムまでピックアップしてくれて親としては楽なのですが。
 

日本人と会う機会はありますか?

 日本人が少ないコンドミニアムなので、日常生活ではシンガポーリアンや他国籍者に囲まれています。近所のスーパーや飲食店でも同じ状況です。日本人に会うのは、子どもの幼稚園のお友達のママや、同じコンドミニアムに住んでいる数少ない日本人家庭と交流するなど、そういった方々ですね。シティの方へ行けばどこでも日本人を見かけます。
 

シンガポールのお気に入り料理は?

 子供たちがチキンライスが大好きで、よくホーカーなどに食べに行っています。私たちはラクサが好きですが、ローカルフードは家族みんな、基本的に好きです。
 

カルチャーショックを受けた出来事はありますか?

 シンガポールに着いた最初の日に空港から家までタクシーで移動したのですが、トラックの荷台に労働者の方が大勢乗っていたのにまずびっくり。本当にカルチャーショックでした。今は慣れましたが、食事をしているところ(ホーカーセンター)に鳥がいっぱい飛んでいたりして、あまりきれいではない。これがこちらの普通の生活なのかと思いました。あとはショップの店員の方たちが、お昼ご飯も店頭で食べちゃうとか、時間になってもお店が開かないとか。「こんなんでいいのかな?」と最初は思いましたが、今は慣れました。
 

シンガポールよりも日本の方がよかったと感じることは?

 日本製のものは「質がいいのだな」と改めて思いました。食べ物も日用品も質がいいのがわかっているので、こちらでも日本のものを使いたくなります。ただ、それを選ぶと高いし、アマゾンジャパンで注文すると送料がかかります。こちらの生活に慣れてきて、こちらの物にシフトしたりもしていますがどうしても日本製を選ぶこともありますね。
 
 また、病院関係は日本にいたときのほうがとっても便利でした。あとは、駐在の奥さんたちから、お洋服がこちらでは自分たちに合うお店がないとよく聞きます。みなさん日本への一時帰国で買い込んできていたそうなのですが、今は新型コロナウイルスでなかなか帰れないのでそれも難しいですね。
 

永住権を所得する計画・希望は?

 ないですね。夫の勤務が3年、長くても5年くらいで日本へ戻ると聞いています。3年だと上の子どもが小学校前のタイミングになるので、キリがいいところで帰りたいなと思っています。
 

新型コロナウイルスによる影響はありましたか?

 簡単に日本に帰れないのがまず大きいですよね。シンガポールに移住してから、まだ一度も帰っていません。幼稚園の活動もかなり制限されています。発表会なども、いつもなら日本人会館のホールなどを使っていたのですが、園の小さいホールでクラスごとやるとか、親も観にいけません。
 
 あとは、私たちがかかっている病院は、本院と分院があって、本院では風邪の症状はコロナの可能性もあるので診てもらえません。本院の先生に診てもらいたいと思っていても、分院に行かなければならないのです。また基本的には受診する子どもしか連れていけません。しかも風邪の症状などで受診すると幼稚園を5日間休む必要がありますし、家からも出られませんから、行動がかなり制限されます。フェーズ3になり今はどこにでもいけますが、たくさんのお友達とは集まれません。
 
 罰金、禁固刑もあって日本よりもずっと厳しく管理されていると感じます。ピークの時は小さい子どももマスクをつけていないと罰金と言われていました。ただ、それだけ厳しかったからこそ、結果的に今は落ち着いているのかなと思います。
 

移住希望の方へメッセージ

 シンガポールに移住する前は、駐在の方のブログなどを見て”キラキラ”な生活が待ち受けてると思うことも多いと思います。ただ、私みたいに英語ができず、あまり積極的ではない性格だと楽しめるようになるには少し時間がかかるかもしれません。
 
 あとは住むところは大事ですね。シンガポールは小さい国なのでシティにもすぐ行けると思っていたのですが、結構時間がかかります。子どもを通わせるところなどを日本にいるときに決められていれば、家選びの視点も違ったと思うのですが、突然移住が決まった場合などは難しいですよね。
 
 でも私も子どももとてもいい経験ができていると思います。感覚もどんどん変わってきました。私はもともとせっかちなんですが、生活にせかせかしなくなりました。「来たバスに乗ろう・来た電車に乗ろう」と、いい意味でなぁなぁになっていきます。タクシーも安いので時間がなければタクシーに乗ればいいか、ともなります。
 
 英語は、嫌いだったのが苦手程度になってきました。最初は、外国語しか耳に入らないのがストレスだったのですが、常に英語・中国語などが入ってくる状況だと、嫌じゃなくなってきました。
 

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