シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPシンガポールはどう変わった?ウィズコロナ時代の“ニューノーマル”

現役大学生の『シンガポール再発見』

2021年3月22日

シンガポールはどう変わった?ウィズコロナ時代の“ニューノーマル”

 シンガポール在住の大学生・Kalinさんがお届けする、日本人が知らないシンガポールのあれこれ。今回はウィズコロナ時代における、シンガポールのさまざまな“ニューノーマル”をご紹介!(2021年3月現在の情報です。)
 

 

生活の変化

①完全予約制が増えた

 コロナ禍を経て、あらゆるサービスにおいて予約制が浸透したシンガポール。お店だけでなく、お寺に行く際も予約制となりました。シンガポールではステイケーション(近場のホテルなどに滞在することで、気軽に旅行気分を味わうレジャー)のキャンペーンが促進されており、マリーナベイサンズも人気のステイケーション先のひとつとなっていますが、屋上のプールは利用人数を制限するため予約制に。コロナ前は気軽にふらっと立ち寄ることが出来た場所でも、現在は完全予約制になっているところが多いようです。
 

②どこに行っても並ぶ

 人数制限に派生するかたちで、人々が列に並ぶことも増えました。飲食店のみならず、週末はH&Mなどのアパレルショップに入店の列が出来ることも。シンガポールでは現在、施設ごとに収容人数のルールが定められており、アパレルショップは「一人あたり最低8平方メートルのスペース」を確保するよう指示されています。店の出入口に立つ係員が、入店する人数をコントロールしながら人々を誘導しています。
 

③ソーシャルディスタンスのマーキング

 ソーシャルディスタンスを遵守するため、並ぶ際には前後の人と適切な間隔がとれるよう、床に目印のマークが貼られています。ホーカーなどでも席間隔を空けるため、使えない椅子には「×」マークが貼られたり、フードコートではテーブルに「×」が貼られているため、『(席は)空いているけど座れない・・・』というケースもしばしば。空いていると思ったら、テーブルと椅子が結束バンドで結ばれていた、なんてことも。シンガポールでは2020年から引き続き、さまざまな場面で他者と1メートルの距離を空けるよう強制的な措置がとられています。
 

④アンバサダーを恐れる市民たち

 フェーズ3に移行してからは人々も外出することが増えたため、週末になると混雑するスポットも少なくありません。混雑している場所においてもソーシャルディスタンスを守らねばなりませんが、実際はなかなか厳しい様子。街中には「セーフディスタンス・アンバサダー」と呼ばれる赤いシャツを着た係員がおり、ディスタンスを守れていない市民を注意したり、混み合う店に並ぶ人々の列を仕切ったりして活躍しています。
 
 アンバサダーに関して、市民が何より恐れているのは「写真をとられていないか」という点。セーフディスタンス・アンバサダーは、違反している人々の写真を撮って通報することが出来ます。撮影でカメラを持ち歩くことが多いKalinさん、とある市民にアンバサダーと勘違いされ、『通報するの?』と聞かれたことがあるそう。違反の対象はソーシャルディスタンスの不履行のほか、マスクの未着用なども含まれます。シンガポールでは現在、外出先で鼻までマスクをしていない場合は罰金300Sドル(約2万4,000円)が課されます。
 

⑤飲食店サービスにも変化

 飲食系のイベントは中止となり、ブッフェなど食べ放題の店では、希望の品を紙に書いて注文し、それを店員が運んでくるという仕組みに変わりました。この方針は政府が新たに打ち出した法律に従ったもので、アパレルショップにおけるスペース同様、飲食店に関しても細かいルールが設定されています。
 

⑥出入口の規制

 コロナ前と比較して、Kalinさんが特に不便だと思っているのは『出入口が塞がっている』問題。現在、シンガポールでは建物に出入りする際、必ず「SafeEntry」アプリ(入退場記録システム)で建物前のQRコードをスキャンします。そして入り口には人々の体温を測る係員が。入退場のチェックを徹底する関係で、以前は利用できた出口が開いていないという事も多く、出入口が元々ややこしいと言われる高島屋は”迷宮”レベルに。出入口が複雑に入り込んだシンガポールの建物内は、Kalinさんいわく『まさにパックマン状態』。
 

⑦障害物や、迷惑をかける人が増えた

 「SafeEntry」によるQRコードが日常となってはや1年。街では『ポケモンGOのように』スマホをかざしながら歩く人が増えたほか、なかなかQRコードが読め込めず、人々の通行の邪魔になってしまう場合も・・・。せっかちな人たちが集まると、QRコードを我先に読み込もうと競争状態に。現在のシンガポールで、街をスムーズに歩くのは難しいかもしれません。
 

⑧旅行の代わりに自然を求めるように

 旅行が大好きなシンガポール人。海外へ旅行に行けない代わりに、現在はシンガポール内の自然スポットに人気が集まっています。Kalinさん自身もハイキングに行く頻度が増えたそう。在宅勤務の息抜きや、現実逃避で非日常を味わう手段として、自然の中でのリラックスが一役買っているようです。
 

働き方の変化

 シンガポールで2020年4~6月にかけて行われたサーキットブレーカー。その間、特定の業種以外は全て在宅勤務が命じられ、デリバリー以外の飲食店も完全に休業となりました。かなり厳しい条件での自粛期間であったため、店の閉店が相次ぐなど、経済的にも大きな打撃がありました。当時と比べると現在のシンガポールは規制が緩和され、ビジネスの交流も増えてきています。
 

①在宅勤務が主流になった

 規制が緩和されてもなお、シンガポールでは在宅勤務が主流な働き方として定着してきました。もともと広いオフィスを借りていた会社がそれを引き払い、シェアオフィスに移行するどしてオフィス費用を節約する動きも出てきています。
 

⑩時間が有効活用できるように

 在宅勤務のメリットのひとつに、それまで通勤にあてていた時間を効率的に使えるという点があります。仕事の合間に家事が出来たり、家族との時間が増えたことで『生活にメリハリが出来た』と感じる人も。
 

⑪新しい価値観を探る機会に

 『先が見えない未来に、どう向き合うか』。コロナ禍をきっかけに、そんな新しい価値観について考え始めた人も多いのではないでしょうか。プライベート、ビジネスともに実際には会えないシーンが増えた一方で、それをカバーするためのアプリやオンラインサービスが日々進化を遂げています。『環境の変化に対応できる企業・人材になる』、これこそがウィズコロナ時代における重要なマインドかもしれません。
 

シンガポール政府への考え方

 世界でもトップレベルの対策を講じたことで、COVID-19の封じ込めに成功しているシンガポール。『シンガポール市民は政府に感謝している人が多いのでは』とKalinさん。スマホを持たない高齢者も「SafeEntry」を利用できるよう、政府は「トレーストゥゲザー・トークン(硬貨大の機器)」を配布したり、年齢に応じたワクチン優先接種の開始や、公共の場における多言語の注意書き掲示など、幅広い層への気遣いを感じさせる政策をとっています。
 
 また首相自身がライブ中継で、規制やシンガポールの今後について説明しつつ、国民に励ましのスピーチを送っていることが、『自分たちの健康を気遣ってくれている』という国民の安心感にも繋がっているといいます。国民へのマスク配布も頻繁に行われており、配布の度にクオリティがアップしているそう。21年4月からは手指用の除菌グッズも配布される予定です。
 

外国人労働者の現実

 シンガポールでは2021年春、外国人労働者の住む寮で集団クラスターが発生し、感染者が3万人を超える状況に陥りました。そんな中、外国人労働者への差別や、寮の劣悪な環境が明らかに。それまであまり知られていなかった外国人労働者の現実が報道されたことで、問題意識を持ち始めた人も多くいるはずです。差別や労働のあり方、そして自分の恵まれた環境などについて、意識を改める機会になったのではないでしょうか。
 


 
 世界中の人々の生活が大きく変わったこの一年。これからはどの国においても、個人・企業ともに“ニューノーマル”に適応する力が求められていきそうです。現在のシンガポールにおける規制の様子や景色が気になる方は、ぜひKalinさんの動画をチェックしてみてくださいね!
 

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPシンガポールはどう変わった?ウィズコロナ時代の“ニューノーマル”