シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP2021年 旧正月の様子&伝説と風習、食べ物の意味

現役大学生の『シンガポール再発見』

2021年2月22日

2021年 旧正月の様子&伝説と風習、食べ物の意味

 シンガポール在住の大学生・Kalinさんがお届けする、日本人が知らないシンガポールのあれこれ。今回はシンガポールの2021年旧正月の様子を、伝説や風習とともにご紹介!
 

 

旧正月 in チャイナタウン

 2021年は2月12日にむかえた旧正月(春節)。シンガポールの島中が真っ赤に染まる時期です。チャイナタウンの大通りには、おめでたい意味の飾りががたくさん。「吉祥如意(自分の思いがすべて叶いますように)」、「新年快乐(あけましておめでとう)」などなど、お祝いの挨拶には四字熟語が使われます。縁起の良い四字熟語は、玄関など家の中にも飾る習慣があるため、お店で飾りも売られています。
 

 
 なお2021年のチャイナタウンにおける人通りは、Kalinさんいわく「例年よりは少ないものの、次第に活気が戻ってきたように感じる”いい感じの混雑具合”だった」とのこと。「夏は撤退したのかと思うほど静かだった」という、フードストリートのお店も復活しています。色々な料理の屋台が並び、お祭りムード満載です。

 

旧正月にまつわる伝説

 旧正月でおなじみの飾りや習慣の多くは、中国の伝説が基となっています。伝説は諸説存在するため、その内容や解釈は地域によって異なりますが、今回はその中から代表的な2つの物語をご紹介します。
 

赤と金の飾りと、伝説の獣「年(ニィェン)」

 旧正月シーズン中、街にあふれる赤と金の飾り。なぜ赤と金がラッキーな色とされるのか?その理由は、とある野獣伝説に基づいています。
 

 
 昔々、「年(ニィェン)」というツノを持つ野獣がおり、大みそかになると海の底から村へやってきて、村人を食べてしまっていました。野獣を恐れた村人は、大みそか前夜に山奥まで逃げるのを習慣としていましたが、ある日一人の老人がやってきて「怖がる必要はない」と話します。彼は赤い紙を村のドアすべてに貼り、赤い服を着て爆竹で騒音をたて、家の中でろうそくを灯すことで、「年」を追い払うことに成功しました。山奥から帰ってきた村人たちは、まったく荒れていない村を見て驚き、老人の教えた方法を毎年の習慣として行うことを決めました。それが現代では文化となって、旧正月の飾りとして根付いているのです。
 
 ちなみに中国語で旧正月を過ごすことは「过年(グゥォニィェン)」と呼ばれ、”年を乗り越える”=”野獣「年」に勝つ”という意味からきているものと思われます。
 

春節のお年玉『紅包』にまつわる伝説


 
 赤い封筒に包まれる旧正月のお年玉、紅包(ホンバオ)。こちらも「祟(スエ)」という悪霊が出てくる伝説がもととなっています。
 
 昔々、眠っている子どもを襲う悪霊「祟」がいました。この悪霊を心配したある夫婦は、8枚の硬貨を子どもに渡し、子どもが眠らないように計らいました。その子どもは硬貨の穴に赤い紐を通すなどして一晩過ごしていましたが、遊び疲れた子どもは硬貨を枕元に置いたまま眠ってしまい、「祟」が襲いにやってきました。すると枕元の硬貨が輝きだし、「祟」を追い払ったのです。
 
 その伝説に基づき、紅包は『子どもを病気や死から守るもの』と信じられています。現代の紅包は赤と金を基調に多様なデザインがあり、2021年は丑年のため、牛の絵が描かれているものが多く売られていました。また日本のお年玉と異なり、銀行や会社から配られる事も多いとか(ただし封筒のみで、中身はナシ)。
 

飾りの意味、由来

 通りや家を彩る旧正月ならではの飾りも、それぞれ意味を持っています。丸いものは縁起が良いとされ、久しぶりに集まった家族親戚で食卓を丸く囲んで一家団欒をすることも大事な習慣です。「湯円(Tang Yuan)」という丸い餅も好まれます。
 

 

シンガポールにおける旧正月の食べ物

 シンガポールの旧正月で定番の食べ物といえば、パイナップルタルトやバクワ(ジャーキーのような肉)、Prawn roll(エビ巻き)、ラブレターと呼ばれるロール状のクッキーなどがあります。日本のおせちと同じく、これら一つ一つも意味を持っています。
 

 
 例えばバクワは昔は高級品で、裕福な人しか食べれなかったもの。現代はそのバクワを贈ることで、「幸運と繁栄を願う」意味をあらわせるのだそう。また、赤い肉は幸運の印でもあります。
 
 なかでも一番人気と思われるのはパイナップルタルト。中国語でパイナップルは「鳳梨(フォンリー)」と書き、福を呼び寄せる非常に縁起のいい言葉と発音が同じであることから、旧正月時期には欠かせない食べ物です。パイナップルの形をした飾りは、玄関やお店の前に必ずと言っていいほど飾られています。
 
 また「年糕(ニェンガオ)」と呼ばれるニューイヤーケーキも人気の食べ物。成長・昇格という意味の「年高」と読みが同じであるため、縁起物とされています。そのほか、マンダリンオレンジもおめでたい食べ物です。オレンジは中国語で「橘子(Júzi)」と呼ばれ、その発音が「吉(Jí)」と似ていることから、めでたい縁起物とされています。マンダリンオレンジを持参して、旧正月の挨拶に周ることもあります。
 


 
 旧正月の伝説や習慣は他にも数えきれないほどあるので、色々と調べてみるのも楽しいですね。また少しでもシンガポールへの旅行気分を味わいたい方は、Kalinさんの動画をチェックしてみてください!

 

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP2021年 旧正月の様子&伝説と風習、食べ物の意味