2020年6月24日
尿酸値が高いと言われたら…気を付けるべき痛風のこと
痛風発作は、突然、足の親指の付け根や足首などの関節が熱をもって赤く腫れ、激しく痛みます。発症後数日は歩けないほどの激痛がありますが、長くても1週間くらいで自然に治まります。
痛風発症のピークは以前は50歳代でしたが、現在では30歳代です。これは、過食や食生活の変化、運動不足など若い時からの生活習慣の変化が関係しています。
痛風発作の原因
痛風の原因となる尿酸は、遺伝子の成分であるプリン体が肝臓で分解されたもので、尿酸の多くは腎臓で排出されますが、尿酸の産生が増加したり、排出が減少すると血液中の尿酸が増加します。尿酸は水に溶けにくいため、関節液中の尿酸が結晶となって沈着し、白血球が尿酸を溶かそうとする際に痛みや炎症が生じ、痛風発作となります。よって高尿酸血症が続くと、痛風発作を起こしやすくなります。
痛風の治療法
生活習慣改善と薬物治療があります。
痛風発作がある場合
薬物治療+生活習慣改善(尿酸値と関係なく行う)
痛風発作がない場合
尿酸値により治療法が異なります。
・尿酸値>7mg/dL:生活習慣改善を行う
・尿酸値>8mg/dL:生活習慣改善を行うが、尿路結石・腎臓病・高血圧・心臓病等の合併症があれば、薬物治療も行う
・尿酸値>9mg/dL:痛風発作が起こりやすく合併症の有無に関係なく薬物治療と生活習慣改善を行う
生活習慣の改善法
1.食べ過ぎない
食べ過ぎを止めることで肥満の解消や尿酸値の低下につながります。また、レバーや白子などの内臓にはプリン体が多く含まれるので控えましょう。
2.飲みすぎない
ビールの原料である麦芽にはプリン体が多く含まれてますが、お酒の種類とは関係なくアルコールには尿酸値を上げる作用があるので飲みすぎないようにしましょう。
3.水分を多く取る
水分を取る量が少ないと尿量が減って尿酸の排出が悪くなり、尿中の尿酸濃度も上がり、尿路結石もできやすくなります。毎日2リットル以上の水分を取りましょう。
4.有酸素運動
運動は肥満解消や合併症の改善に有効です。激しい運動は避け、ウォーキングなどの有酸素運動を行いましょう。
薬物治療
痛風発作時に用いる薬と、尿酸値を下げる薬に分けられます。
痛風発作時に使う薬
・コルヒチン(Colchicine)
白血球が患部に集まったり攻撃するのを抑える働きがあり、「関節がむずむずする」などの痛風発作の前兆を感じた時に内服します。日本では1錠だけ服用しますが、海外では2~4錠/日内服するのが一般的です。コルヒチンには痛みを取る効果はなく、コルヒチンを大量に服用すると下痢を生じる危険性があります。
・非ステロイド抗炎症薬(NSAID)
炎症を鎮めて腫れや痛みを取り除く効果があり、痛風発作時に用います。副作用として胃腸障害があります。
尿酸値を下げる薬
尿酸降下薬には尿酸産生を抑える薬と尿酸排出を促す薬があります。尿酸産生を抑える薬にはアロプリノール(商品名:ザイロリックなど)があり、副作用として肝機能障害や湿疹などのアレルギーがあります。
取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。